研究課題/領域番号 |
21K11403
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
舟喜 晶子 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (20759659)
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研究分担者 |
須永 美歌子 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (70534064)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 月経周期 / 伸張性運動 / 炎症 / 筋損傷 / 好中球 / プロゲステロン |
研究実績の概要 |
2021年度は月経周期が伸張性運動により誘発された筋損傷後の炎症反応および筋損傷間接マーカーに与える影響について検討を行った。 正常月経周期を有する女性を血清卵巣ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)濃度が低い卵胞期群と卵巣ホルモン濃度が増加する黄体期群にランダムに分け、非利き腕の上腕屈筋群を対象に伸張性運動を実施した。月経周期のフェーズを適切に行うため、 先行研究にて推奨されているcalendar-based counting、尿中黄体刺激ホルモン検査、血清卵巣ホルモン濃度の分析に基礎体温の測定を加えた方法を用い選定した。炎症反応の指標として炎症の早期に増加する白血球数(全白血球数、好中球数、リンパ球数、単球数、その他の白血球数)、また筋損傷間接マーカーとして血清クレアチンキナーゼ、肘関節屈曲最大随意等尺性筋力、肘関節関節可動域、上腕周径、主観的筋痛に着目し両群の比較検討を行った。 運動前の卵巣ホルモン濃度は卵胞期群と比較し黄体期群で有意に高値を示したことから両群のフェーズの選定は適切に行われたと考えられる。さらにすべての筋損傷間接マーカーは伸張性運動による筋損傷後の定型的な経時的変化を辿ったことから本研究の運動プロトコルによって筋損傷が誘発されたことが推測される。 好中球数における運動前から伸張性運動後のピークまでの変化率は月経周期の影響を受ける可能性が示された。血清エストラジオール濃度と白血球数との間に有意な相関関係はみとめられなかったが、黄体期群において血清プロゲステロン濃度と好中球数変化率(運動前からピーク)との間に有意な負の相関関係が認められた。筋損傷間接マーカーはすべての項目において両群間に有意な差は認められなかった。以上から月経周期は伸張性運動による筋損傷後の炎症反応に影響を与え可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の課題である「伸張性運動により誘発された筋損傷後の炎症反応および筋損傷間接マーカーに与える影響の検討」は、予定通り遂行がなされた。現在は、詳細のデータを分析中であり、順次学会や学会誌等で発表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の実験によって、月経周期が伸張性運動により誘発された筋損傷後の炎症反応に与える影響について明らかにし、月経周期を考慮した筋損傷後の回復法について検討することの妥当性を確認することができた。 今後は卵巣ホルモン濃度が低いフェーズにおける炎症反応の抑制に物理療法が有効であるか否かについて検討を行い、月経周期によるホルモン濃度の違いを考慮した筋損傷後の回復法の考案に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
深部温モニター購入に伴う物品について予算を計上していたが、今年度は物理療法の実験実施には至らなかったため、すでに所有している物品で研究を遂行することができた。次年度は採血関連消耗品の購入、血液試料分析委託費、さらに実験補助者への謝金として使用する計画である。
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