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2021 年度 実施状況報告書

四肢の体性感覚制御によるスプリントパフォーマンス改善の試み

研究課題

研究課題/領域番号 21K11410
研究機関相模女子大学短期大学部

研究代表者

笹田 周作  相模女子大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (80624824)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード疲労 / 体性感覚 / サイクリング / スプリント
研究実績の概要

本研究では下肢のスプリント性運動における下行性指令の機能低下に四肢の体性感覚が関与するか否かを明らかにすると伴に,四肢の人工的な体性感覚の付加によるスプリント運動の疲労軽減法確立を目指している.2021年度の成果は以下の2点である.
(1)刺激を与える運動位相:100Hzの連発電気刺激をサイクリング中の総腓骨神経に与えることでスプリントパフォーマンスの改善が生じる.一方で,体性感覚が運動ニューロンの興奮性に及ぼす影響はサイクリング運動の位相に依存的であることが知られている.従って,より刺激効果の高い運動位相が分かれば,四肢への刺激を最小化出来る可能性がある.そこで,60回転/分の定常回転サイクリングを運動モデルとして使用し,総腓骨神経刺激により膝関節伸筋群で惹起される促通性応答が,そのサイクリング位相に応じて修飾を受けるか否かについて検証を行った.その結果,ペダルを踏み込む動作を行う運動位相(クランクポジション12時―3時)において,促通性応答が増大するという結果を得た.この結果は刺激を最小化する事に利用できる可能性がある.
(2)運動中の振動刺激によるGroup Ia求心性神経活動の惹起:全力運動中の筋活動に対し,振動刺激によるGroup Ia求心性神経活動を惹起可能か検討した.小型の振動刺激装置を用いてヒラメ筋を100Hzで刺激した.刺激肢と同側の脛骨神経をヒラメ筋運動閾値の刺激強度で脛骨神経を電気刺激し,ヒラメ筋H反射を誘発した.ヒラメ筋を誘発する際,最大随意収縮のおよそ8割の努力度での足関節等尺性底屈を行い,振動刺激の有無でH反射が修飾を受けるか否かを検証した.その結果,足関節の脱力下では振動刺激によるH反射振幅の修飾が得られたが,等尺性随意収縮下では修飾が得られなかった.この結果は使用した振動刺激の強度或いは部位等が適切ではなかった可能性がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

2021年度は,複数肢で刺激パラメーターの検証を行う予定であった.一方で,新型コロナ感染症の影響で,十分な実験を行う事が出来なかった.加えて,複数肢用の電気刺激装置納入が滞ったこと,使用予定であった振動刺激装置で本研究の課題解決に対する十分な効果が得られなかったことの問題が生じた.これらの事象が重なり,さらなる実験の遅延が生じた.従って,これらの点を踏まえ,「遅れている」と評価するに至った.

今後の研究の推進方策

2022年度は早急に刺激装置の準備と再検証を行う.既に複数肢用の電気刺激装置は納入予定が決まり,現在被験者の選定を進めている.また,振動刺激装置については再度メーカーも含め再検討を行っている.振動刺激装置の再検討に時間がかかる場合は,電気刺激装置を中心に実験を進めることで,遅延状況の改善を図る予定である.また,新型コロナ感染症の状況が改善している期間にすぐ実験が再開できるよう,被験者の募集,新型コロナ感染症に対応した実験室の整備,及び所属大学への実験申請を行っている.

次年度使用額が生じた理由

現在の進捗状況でも記載した通り,新型コロナ感染症の再拡大が影響し,十分な実験を行う事が出来なかった.これに伴い人件費の支出に差額が生じた.現在計画の遅延を解決するために,被験者の募集及び新型コロナ感染症に対応した実験室の整備,所属大学への申請を行っている.
旅費にも大きな差額が生じていたが,この差額も新型コロナ感染症の再拡大に伴い学会大会への出張が出来なかった事に起因する.感染症状況が落ち着き次第,学会へ参加する予定であるため,2022年度は計画通りの支出を予定している.一方で,感染症の再拡大が再度起こる可能性があるため,2021年度で生じた差額の一部はオンラインでのディスカッション環境構築に割り当てる予定である.
物品費については,刺激装置の納入遅延が主な原因である.2021年度納入予定であった機器の納入を進めており,2022年度前半には当初の計画通りの執行状況となる予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Effect of anodal transcranial direct current stimulation on full-effort stepping exercise performance2022

    • 著者名/発表者名
      Sasada Syusaku、Ishii Tomoya、Kobayashi Yuri、Shimizu Nao、Komiyama Tomoyoshi
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine

      巻: 71 ページ: 239~247

    • DOI

      10.7600/jspfsm.71.239

    • 査読あり
  • [学会発表] 脊髄直流電気刺激によるサイクリング中の総腓骨神経反射振幅増大2021

    • 著者名/発表者名
      笹田周作
    • 学会等名
      第29回日本運動生理学会
  • [学会発表] 繰り返しのスプリント運動間に与えられる経頭蓋直流電気刺激は スプリント運動パフォーマンスを改善する2021

    • 著者名/発表者名
      笹田周作
    • 学会等名
      第76回日本体力医学会
  • [学会発表] 人工体性感覚の付加による スプリントサイクリングパワーの改善2021

    • 著者名/発表者名
      笹田周作
    • 学会等名
      第9回日本スポーツ健康科学学会

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公開日: 2022-12-28  

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