研究課題/領域番号 |
21K11411
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
赤澤 暢彦 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 講師 (30713250)
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研究分担者 |
中村 真理子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学・研究部, 研究員 (30343677)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Steadiness / fMRI / 握力 |
研究実績の概要 |
身体各部における巧みな動きは、末梢性の骨格筋機能よりも中枢性の神経系に影響されると考えられる。これまでに行われた機能的核磁気共鳴装置(functional magnetic resonance imaging: fMRI)による脳機能イメージングを用いた研究では、下肢における力調節安定性は運動に関わる運動野、大脳基底核、小脳だけでなく前頭前野、島などの神経活動賦活も関連することが報告されている。一方で、疲労を惹起するような運動を行うと、力調節安定性を低下させることが報告されている。しかし、疲労困憊運動よる力調節安定性低下のメカニズムは不明なままである。本研究では、fMRIによる脳機能イメージング手法に着目し、異なる種類の疲労困憊運動が力調節安定性と脳活動動態に及ぼす関係性について検討することを目的にした。 本年度は、安静時における非磁性体ハンドグリップセンサーを用いて掌握運動における力調節安定性と脳活動動態を異なる強度の影響を検討した。本研究では、若年者を対象に、運動試行前に左手の最大握力(Maximal voluntary contraction: MVC)を測定し、10% MVCおよび50% MVCにおける力発揮調節テストを実施した。対象者は、20秒間の力発揮と20秒間のレストを挟んで、それぞれの強度を3セット行った。力発揮調節テスト中の脳活動を3T MRI装置を用いて、T2*エコープラナー法によりBOLD信号を測定した。10%MVC試行の力調節安定性は、50%MVC試行に比べて有意に高い値を示した。両強度の試行とも、右側の中心前回、左側の縁上回、両側の弁蓋部の脳活動が活性化した。さらに50%MVC試行では、左側の小脳と島、両側の側脳室の脳活性が認められた。これらのことより、上肢の掌握運動においても中心前回(運動野)や小脳だけでなく、強度依存的に島などの脳部位が活性することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、力調節発揮テストの実験が始まり、強度に関する検討ができて、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、計画通り、疲労および力調節発揮機能と脳活動の関係性を検討する予定である。次年度では、疲労困憊運動を実施して、その前後にて掌握運動における力調節発揮とfMRIを用いた脳活動状態の評価を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に構築したソフトウェアのが想定より低コストで導入することができたために差額が生じた。 これらの経費は次年度の海外出張の旅費や謝金などに使用する予定である。
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