研究課題/領域番号 |
21K11414
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研究機関 | 公立小松大学 |
研究代表者 |
酒井 忍 公立小松大学, 生産システム科学部, 教授 (80196039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スポーツ / 野球 / 卓球 / 投球機 / 球種 |
研究実績の概要 |
本研究では,開発する高速かつ多彩な変化球(球種)を高い制球精度で投球できる野球用,卓球用の高性能スポーツマシンと慣性センサ等を用いて,野球では「フォークボール」,「ツーシーム」,「ジャイロボール」等を,卓球では横回転系の「カーブドライブ」,ジャイロ回転系の「チキータ」等の高度な球種の空力特性および飛翔軌道を解明する.開発するマシンは,球速,スピン数,スピン軸をそれぞれ独立に制御できる4ローラ式発射機構を採用する.本研究では,実投手の人差指(示指)を模倣し,柔らかく滑りにくい柔剛合わせ持つ剛性可変把持装置と,縫い目に影響されにくい発射ローラを研究開発する.新たに開発する高性能発射マシンと高精度慣性センサ,力覚センサおよび高速度ビデオを駆使し,微妙に変化する球技用ボールの飛翔軌道や特異なバウンド挙動など,未だ解明されていない高度な球種の秘密を解き明かすことが,本研究の最大の目的である. 本年度は,上下の発射ローラと左右のジャイロローラを用いた4ローラ式発射機構のピッチングマシンの設計,製作を行った.左右の2つのジャイロローラは,両者の交差角を任意の角度に可変することが可能である.各ローラ回転数と交差角を調整することにより,フォークボールやツーシーム,ジャイロボールはもちろん,最高160km/hの球速かつ任意のスピン回転数のあらゆる球種(変化球)のボールを概ねボール1.5個分未満の投球精度で投球できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
幅広い球速,かつ様々な球種(変化球)を投球可能な野球用投球機(ピッチングマシン)を設計・製作した.当該マシンを用いた投球実験を行った結果,最高球速は160km/h,「フォークボール」,「ツーシーム」,「ジャイロボール」など高度な球種(変化球)を投球できていることを高速度ビデオの画像から確認をした.また,投球精度としては,ジャイロボール以外では,ボール1.5個分未満の投球精度を有しており,開発したマシンの投球性能は高いことが確認された.
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今後の研究の推進方策 |
製作した野球用投球機(ピッチングマシン)の投球性能をさらに向上させるため,実投手の人差指(示指)を模倣し,柔らかく滑りにくい柔剛合わせ持つ剛性可変把持装置と,縫い目に影響されにくい発射ローラの開発を目指す.また,ローラ材質やローラ形状をCAEによる投球シミュレーションを用いて最適化し,さらに投球精度を向上させる. さらに,幅広い球速,かつすべての球種を発射可能な卓球用4ローラ式発射マシンの基本設計や詳細設計を行い,高性能卓球マシンを製作する.また,製作した卓球マシンを用いた発射実験を行い,幅広い球速,ドライブやカット,チキータを含むすべての球種を高発射精度で発射することを目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
新たに開発する高性能発射マシンに用いる高精度慣性センサおよび力覚センサの性能が本研究に必要な性能と合わなかった.そこで,これらの新たなセンサと制御装置および周辺機器を本年度,新たに購入する予定である.
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