本研究(2023年度)では、ランニングシューズのソールの違いが骨代謝動態に及ぼす影響を明らかにするために、昨年度実施した測定の結果をまとめ、様々な項目についてデータ分析、統計処理を実施、2024年3月に札幌で開催された「第36回ランニング学会大会」で研究発表を実施した。 対象は男子一般成人ランナー9名(年齢:31.7±12.8歳、身長:172.8±6.6cm、体重:68.0±10.0kg、体脂肪率:16.3±4.2%)であった。実験プロトコールについては、各条件(厚底シューズと薄底シューズ)で3回測定を行い、最初の測定(1回目)はプレ測定、次(2回目)にランニングを行わず1週間経過後に2回目の測定、そして1週間にわたり総走行距離40~50km、走速度は1kmあたり5分50秒~6分30秒でランニングを行った後に3回目の測定を実施した。統計処理として各マーカーについては、繰り返しのある二元配置分散分析を用いて、主効果(条件・タイミング)と交互作用(条件×測定タイミング)の検定を行った。条件間の総走行距離と走行速度は、対応のあるt-testを行った。有意水準は、危険率を5%未満とした。その結果、各マーカーでは有意差はみられなかった。また総走行距離は厚底シューズが41.0±1.0km、薄底シューズが41.3±1.0kmであり、走速度も厚底シューズが5分48秒±18秒/km、薄底シューズが6分00秒±14秒/kmだったが、これらの差に有意差はみられなかった。結論として、同等の走行距離や走速度の条件下においてランニングシューズのソールの違いが骨代謝に与える影響には差がないことが示唆された。 研究全体を通じてソールの異なるシューズが骨代謝にどのような影響を及ぼすかを検討した最初の研究となるため、今後はランニングトレーニングの走行距離や走速度をより詳細に分け比較検討する必要があると考える。
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