研究課題/領域番号 |
21K11418
|
研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
武田 典子 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 准教授 (70386655)
|
研究分担者 |
荒尾 孝 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 副所長 (00409707)
佐藤 慎一郎 人間総合科学大学, 保健医療学部, 教授 (60631356)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 身体活動 / 運動 / 座位行動 / うつ / 高齢者 / コホート研究 / 運動疫学 |
研究実績の概要 |
本研究課題の第一の目的は、日本人高齢者を対象とした長期の前向きコホート研究によって、うつ症状発症のリスク要因、特に、身体活動・座位行動の影響について検討することである。先行研究により、身体活動がうつ症状の発症リスクを下げることが示されている。しかし、身体活動の詳細(量反応関係など)についてはさらなる研究が必要である。座位行動がうつ症状の発症リスクに及ぼす影響については、研究成果は十分とは言えない。 当該年度は、まず、対象自治体である山梨県都留市で前年度に実施した高齢者コホート調査のデータ入力を実施した。次に、本コホートのデータを用いて身体活動、座位行動とうつ症状の関連を検討するための2年間の縦断研究を行った。身体活動量は日本語版国際身体活動質問紙短縮版(IPAQ Short Version)を用いて中強度の身体活動量を評価した。座位行動はテレビ視聴に伴う座位時間を評価した。うつ症状の有無は高齢者用うつ尺度短縮版(GDS-15)を用いて、5点以上をうつ症状ありとみなした。結果、中強度の身体活動時間が週当たり0分以上60分未満のグループを基準とした場合、150分以上300分未満のグループと300分以上のグループでうつ発症発生のオッズ比が有意に低かった。また、テレビ視聴時間が1日につき1時間未満のグループを基準とした場合、それ以上のグループでうつ症状発症のオッズ比が有意に高かった。本研究により、日本人高齢者において中強度の身体活動とテレビ視聴に伴う座位時間がうつ症状発症のリスク要因である可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は前年度の調査のデータ入力とうつ症状発症のリスク要因の検討を計画しており、それらを実施することができたことから、おおむね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点では順調に研究が進展しているため、今後も計画に基づいて、地域高齢者に対するうつ予防プログラム開発のためのインタビューを実施する。また、これまでに収集した各種データを解析し、成果発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響により国際学会での発表を見合わせたことから、使用計画に変更が生じた。この差額は、次年度以降の成果発表にかかる費用として使用する予定である。
|