研究課題/領域番号 |
21K11423
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
八田 有洋 東海大学, 体育学部, 教授 (20312837)
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研究分担者 |
福本 寛之 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00779308)
下田 政博 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80302909)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動神経伝導速度 / 脛骨神経 / 有酸素性運動 / ピラティス / 心拍変動 |
研究実績の概要 |
申請者らは、学生アスリートを対象に週1回30分のピラティスメソッドを実施することで腰痛が軽減し、機能的動作の質的改善とパフォーマンスが向上することを明らかにした(科研費基盤研究C:2018~2020)。しかし、学生アスリートは定期的にトレーニングを行っていることから、必ずしもピラティスによる効果であるとはいえない。 本研究の目的は、1)運動習慣の無い健康成人を対象に一過性のピラティス実施による末梢神経機能の促通効果の検証、2)長期ピラティス介入による技術習得に伴う運動学習過程を明らかにすること、3)中高年者を対象に長期的ピラティス介入による中枢神経機能、特に脳内情報処理過程に及ぼす影響について明らかにすることである。 2021年度は、ピラティスによる神経―筋系の急性効果に着目し、脛骨神経の運動神経伝導速度を評価項目とした。参加者はピラティス経験のない一般健康成人12名であり、約20分のピラティスを実施し、安静時と運動中の心拍数を記録した。その結果、ピラティス実施中の平均心拍数は、87.4±14.0拍/分であった。約一週間後、参加者はピラティス実施中の心拍数をもとに同強度・同時間の自転車エルゴメータによる有酸素性運動を実施した。各エクササイズ実施前後に利き足の脛骨神経伝導速度を測定した。ピラティス実施前後の脛骨神経伝導速度は、51.9±3.7m/s、50.5±3.6m/sであり、ピラティス実施前後に差は得られなかった。また、有酸素性運動前後の脛骨神経伝導速度は、53.2±3.4m/s、52.3±3.0m/sであり、有酸素性運動前後で差は得られなかった。両エクササイズ前後で神経伝導速度に差が得られなかったことについて、本研究の運動強度が低かったこと、運動後に体温(皮膚温)が上昇しなかったことが要因として考えられる。ピラティスの運動内容と強度を修正し、再検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍ではあったが、当初の計画通りピラティスと有酸素性運動の各エクササイズ前後の運動神経伝導速度を測定・比較することができた。結果は、各エクササイズ共に運動前後で神経伝導速度に差は認められなかった。本研究の運動強度設定と測定環境の統制がその要因の1つとして考えられる。今後、追加測定を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、ピラティス経験のない一般健康成人を対象に長期ピラティス介入によるピラティス動作および技術向上に伴う運動学習過程について筋電図学的研究を実施する予定である。また、長期ピラティス介入による脚筋力に及ぼす効果について脚筋力測定装置を用いて検討し、長期ピラティス介入による神経―筋促通効果も検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で研究実施期間の短縮と参加者が予定より少なかったことから謝金計上が予算よりも下回った。次年度、追加測定を行うことで余剰分を使用する予定である。
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