2023年度は、前年度より規模を拡大して身体計測会を実施することができた。2023年6月~7月に身体計測会を実施し、合計91名(65~74歳13名、75歳以上68名)の高齢者の身体計測等のデータを得た。 また、フレイル予防の観点から、身体計測会参加者とは別の一部の高齢者を対象に、健康教室を開催し、週に1回、フィットネスダンス、レジスタンス運動等の運動に取り組んだ。同じ対象者に対して、月に1回の栄養・食事の集団レクチャーを実施した。 健康教室の参加者を「参加者」とし、身体計測会でデータが得られた対象者を「非参加者」として比較することで、運動と栄養の両側面からのサポートである健康教室の有効性を検討した。 75歳以上の女性のデータを比較した。参加者(n=9)は、年齢80.2±4.3歳、身長152.2±4.6 cm、体重51.2±5.8 kg、BMI 22.1±2.4 kg/m2であった。非参加者(n=68)は、年齢81.2±4.1歳、身長150.9±5.3 cm、体重51.2±7.7 kg、BMI 22.5±3.2 kg/m2であった。2群間に差はみられなかった。体力の指標として、握力、長座体前屈、10 m歩行、開眼片足立ちを計測した。10 m歩行において、参加者のほうが有意に歩行速度が速かった(参加者5.2±0.5秒、非参加者7.6±1.6秒)。その他の項目では有意な差はみられなかったが、握力は参加者のほうが高い傾向であった(参加者23.2±3.0 kg、非参加者19.8±3.7 kg)。おおむね、参加者のほうが体力指標が良好であったため、健康教室の実施はフレイル予防に有効であったと考える。健康教室の実施による直接的な支援は対象者の数が制限されてしまうため、今後は、より多くの人を対象にした支援のあり方を模索していくべきである。
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