現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の実験では、プロテオミクス実験であるRIME(Rapid immunoprecipitation mass spectrometry of endogenous proteins)法の材料とするための培養筋管細胞を用いたアンドロゲン応答系の構築を行った。マウス由来筋芽細胞C2C12細胞にレトロウイルスを用いてFLAGタグ融合マウスアンドロゲン受容体(AR)遺伝子の導入を行い、FLAG-ARの安定発現細胞株を樹立した。続いて、この細胞を100%コンフルエントまで培養した後に2%ウマ血清入培地で4日間培養することにより筋管細胞へと分化させた。FLAG-AR遺伝子の導入の有無は筋管細胞への分化への影響を認めなかった。続いてこの分化した筋管細胞へDHTを添加し遺伝子発現を定量的PCRにより検討した。その結果、FLAG-ARを発現し分化した細胞群において特異的にMylk4(Sakakibara I et ak., iScience, 24, 4,102303)をはじめとするアンドロゲン応答遺伝子の誘導が確認された。このことは、FLAG-AR遺伝子を発現した細胞では、筋管細胞へと分化させることで未知のパイオニア因子の働きによりの応答遺伝子のクロマチン環境の変化が生じAR標的遺伝子の誘導が生じたと考えられる。したがって、樹立した本細胞は当初の目的である筋管細胞特異的なARのパイオニア因子を取得するためのよい材料であると考えられる。
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