研究課題/領域番号 |
21K11444
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
森川 真悠子 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教 (10596068)
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研究分担者 |
能勢 博 信州大学, 医学部, 特任教授 (40128715)
増木 静江 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70422699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インターバル速歩 / 遠隔型個別運動処方 / IoT / 運動定着 |
研究実績の概要 |
我々は「インターバル速歩」とIoTを組み合わせた「遠隔型個別運動処方システム」を開発し、過去15年余りで約10,000名の中高年者を対象に同トレーニングの効果検証を行ってきた。その結果、5ヶ月間で体力が最大20%向上、それに比例して生活習慣病が20%改善、医療費が20%抑制された。最近、我々は同システムのスマホアプリ化にも成功した。そこで、本研究では、想定できる複数の心理的要因プログラムを順次インストールし、それぞれのプログラムに対する運動定着率を検討することで運動の定着を向上するアプリを開発する。そして、得られた結果をもとに「ヒトの運動習慣定着を促進する心理的要因」を明らかにすることを目的とした。 2021年度は、運動の定着に影響すると考えられるインターバル速歩アプリの3機能、すなわち ①自己比較、② 他者比較、③コミュニティ育成のうち、A:全部含むアプリ、B,C,D:どれか1機能欠損アプリ、E:全機能欠損アプリの計5種類を準備し、検証実験を行った。すなわち、中高年者48名をランダムに9-10名ずつ5つの群に分け、1ヶ月ごとにA-Dの5種類のアプリ条件をローテーションした。また、全5か月間の介入前後に体力、形態測定、血液検査を行った。2022年度は、得られたデータについて、1)トレーニングによる体力・生活習慣病の変化、2)アプリ機能による運動定着率の変化、について解析した。その結果、1)全条件の48名において、介入前と比較して介入後に、体力が有意に向上、BMI、腹囲、体脂肪率、HbA1cが有意に低下した。さらに、2)アプリ機能による運動定着率の5種類の条件間の比較を、トレーニング日数に注目した場合(定着率%=週トレーニング実施日数/目標トレーニング日数(週4日)×100)と、速歩時間に注目した場合(定着率%=週速歩実施時間/目標速歩時間(週60分)×100)で進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、すでに、携帯型カロリー計とPCを核としたIoTを用いたシステムにおいて、中高年者を対象に5ヶ月間のインターバル速歩トレーニングが、体力を向上し、生活習慣病の症状を改善することを報告している。本研究において、その効果をスマホアプリを用いたシステムで確認できたことは、同システムが同世代だけでなく、より若い世代にも普及する可能性を示唆する。さらに、今後、そのトレーニング定着率を詳細に検討することで、①自己比較、②他者比較、③コミュニティ育成プログラムの運動定着率への寄与度を定量化することが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
アプリ機能による運動定着率を詳細に解析する。その際に解決すべき主な課題は、以下である。 ・アプリ機能の使用方法を習得するための時間を考慮すること:本研究では、5種類のアプリ条件を1ヶ月ごとにローテーションした。この際、高齢者がそれぞれのアプリ条件において、使用方法を習得し、実際にそのアプリの効果が出るまでには、一定の期間を要することが考えられる。そこで、各アプリ条件において、1週間ごとの定着率の推移を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリ機能による運動定着率を詳細に検討するためには、その使用方法の習得や効果が出るまでの時間を要することが考えられる。そこで、アプリ機能による運動定着率の5種類の条件において、1週間毎の定着率の推移を検討する予定である。
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