研究課題/領域番号 |
21K11445
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
為井 智也 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 准教授 (40548434)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マルチラベル分類 / シナジー / 言語インストラクション |
研究実績の概要 |
当初の計画通り,運動指導における多様なインストラクション表現の意味関係を体系化するという目的に向け,学習者のモーション(入力)に対し,インストラクション(ラベル)が割り当てられる分類問題として定式化する課題に取り組んだ.この問題に,バイオメカニクスや計算神経科学の分野で注目されるシナジー(身体の各部位の協調)抽出とスパースモデリングを組み合わせて使用することを試みた.これにより,指導者が学習者のフォームのどこ(どのような身体部間の連動)を見てインストラクションを行っているかを明らかにするとともに,分類問題の推定精度の向上が期待される.バスケットボールのフリースローのデータ(学習者のモーションと指導者の言語インストラクション)に対して本手法を適用し,予備的な結果を得ている.各学習者からより一貫性のあるシナジーを抽出するため,次年度はアルゴリズムのブラッシュアップを行っていく予定である. 2023年度に予定していた,高価なモーションキャプチャでなく,一般的なビデオカメラやスマホで撮影した動画から,3次元のモーションを再構築する課題にも取り組んだ.コロナ禍が長引いたため被験者実験が行いづらかったことや,今後リモートによる運動指導システムの需要が高まることを予想したためである.安価なwebカメラ3台を使い,トレッドミル上でのランニングフォームを3次元計測するシステムを構築した.ランニングショップ1件の協力を得ることができ,効率的に運動データを収集する体制が整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者のモーション(入力)から実際に与えられたインストラクション(ラベル)を推定する問題では,提案手法が従来手法を優位に上回るかの検証が済んでおらず,論文化可能な成果を出すには至っていない.一方,実社会での使用を見据えた,安価な計測システムの構築と,より多くのデータを収集するための枠組み作りは予定を前倒して進めており,トータルではおおむね予定通りと言える.
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今後の研究の推進方策 |
モーションからインストラクションを推定する問題においては,各学習者からより一貫性のあるシナジーを抽出し分類精度の向上を図るため,アルゴリズムのブラッシュアップを行っていく予定である.当初の予定通り,モーションキャプチャで計測した学習者のモーションを入力すれば言語インストラクションを出力するAIエージェントの試作,妥当性の検討を行う.また,前年度に開発した安価なwebカメラを用いた3次元フォーム計測システムを運用し,実験室内だけでなく,店舗や施設での効率的なデータ収集が可能かも検証していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,被験者を集めた実験を行えなかったため,人件費・謝金の支出額が少なかった.また,情報収集のために参加予定であった学会がオンライン開催となり,旅費も大幅に減少した.
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