研究課題/領域番号 |
21K11454
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
勝又 宏 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40398350)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動制御 / 視覚情報処理 / 反応時間 / 打撃動作 |
研究実績の概要 |
ボールの動きに関する視覚情報をもとに素早く正確に反応してパフォーマンスを遂行するメカニズムについて、本研究では、野球の打撃動作に注目して知見を得ることを目的としている.2023年度は研究期間の最終年度にあたる.初年度中に着手した「ティー打撃と、投球マシンから発射された投球を打撃する動作(マシン打撃)の動作実験」による両動作データの比較によって、“飛来するボールに対するバットスイング動作”の準備や対応を可能にする動作方略について分析した.ティー打撃は、飛来する投球軌道を想定してそれに応じたインパクト位置を決定してティーを設置する.計算論的動作制御の理論的観点からすると、このボール位置の選択およびそれに対する打撃動作は、想定した投球軌道に対する打撃動作の内的表象を反映するものと見なすことができるものの、マシン打撃のインパク位置はティー打撃のそれを反映する者ではないという結果であった.この点と、飛来するボールに対するバットスイングの時間的協調構造の分析を通じて、バットスイングのタイミングをボールの飛来に同調させる動作様式が明らかになった.これについて、関連する研究分野の国際誌に投稿するための論文作成に取り掛かった.昨年度末より、この投稿論文の査読結果に対応中である.また、前年度より着手している「ティー打撃動作課題を用いて、“打者がスイング動作を開始する”ことを示す動作特徴を明らかにする」ための実験のデータ分析を行った.今年度、成果のとりまとめができ次第、論文投稿に向けて準備に入る予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間初年度に実施した実験の成果について関連研究分野の国際誌に投稿したところ、分析方法に関する指摘を受け、これに対応するための新たな手法による再分析および再投稿のための準備に時間を要することとなった.再分析に苦労はしたが、結果としてよりよりデータのとりまとめをすることが出来たため、これをもとに投稿論文は査読過程の最終段階を迎えている. また、2022年度に着手した実験のデータ分析を、上記の作業に並行して行なうこととなり能率的なデータ処理作業を行なうことが難しい状況であった. 加えて、研究採取年度にデータ獲得・分析を予定していた実験システムの構築も機器の技術的な問題を解決することに時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度が、当初の研究期間の最終年度の予定であったが、進捗状況を踏まえて期間延長申請を行い、これが承認されたので本年度、当初より予定している最後の実験に着手し、データ分析ならびに結果のとりまとめを行なう予定でいる.また、 昨年度より取りまとめている実験結果について、関連する研究分野の国際誌への投稿を行なうべく準備を進める.以上の作業内容を順調に進展させることが出来れば、当該研究期間に予定していた実験により得られる知見を基にして、本年度終盤に研究の総括が出来るものと見込んでいる.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画による実験のうち、最後に予定している実験において、投球マシンが投じるボールを打撃する動作を、モーション・キャプチャーにより計測することを計画している.この実験の「投球リリースおよび打撃によるインパクト時点を特定するための計測システムの構築」に要する費用ならびに、「研究機器の保守点検費用」、「論文投稿における校正にかかる費用」が必要となるので、2024年度の助成金使用計画としてこれらを計上することになる.
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