研究課題/領域番号 |
21K11457
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研究機関 | 日本体育大学 |
研究代表者 |
松田 康宏 日本体育大学, 保健医療学部, 准教授 (20760200)
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研究分担者 |
小野 弓絵 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10360207)
服部 辰広 日本体育大学, 保健医療学部, 准教授 (20739768)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 手技療法 / 筋血流計測 / 光計測 / 生体医工学 / 可視化 |
研究実績の概要 |
筋過緊張状態の治療やスポーツ選手のコンディショニングでは,擦る,揉む,押す,叩くなどの手技療法やストレッチングなどの「徒手的な施術」が用いられている。これらの研究領域は,他の医学分野に対して立ち遅れ,計測方法や評価方法がいまだ確立されていない。本研究は,筋血流の評価システムの開発と徒手的な施術によってもたらした局所や全身の筋血流の変化について検討し,科学的根拠をもとに明らかにすることを目的にしている。 2021年度では,複数の体表部位から筋血流応答を計測可能なDCSシステムの開発を行った。ヒトの体表の様々な部位から筋血流計測を可能とするため,頸部や腰部,大腿部や下腿部など全身の部位に適合した光プローブホルダーの作製の検討や手技療法を施した筋以外の他部位の血流応答を同時計測するための2点同時計測を実現するための拡散相関分光法(Diffuse correlation spectroscopy: DCS)装置の開発を進め,2021年度中に2点同時計測システムを作製することができた。一方,光プローブホルダーの作製に関しては,肩の僧帽筋部や前腕部など装着部の面積が小さな部位や大腿部や下腿部,腰部など装着部の面積が大きな部位,体毛が比較的少ない部位や体毛が多く存在する部位など,様々な部位への装着に適用する光プローブホルダーの形状と装着方法を考案し,作製した。それにより,安定した筋血流のデータ計測や装着部位によって被験者への負担や苦痛を最小限にできると考えている。また,DCSを用いて僧帽筋への手技療法前後の筋血流の変化を計測した予備的研究では,5分間の手技療法によって全身循環への影響は最小限としながらも局所的に僧帽筋部の筋血流が増加し,さらに筋が硬くなっている場合は筋血流の増加が大きいことが検証結果で示された。以上の結果と本研究に関する研究成果を論文4件,学会発表7件として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス蔓延の影響により外部からの被験者の参加が難しい状況であったため,予備実験を遂行することができなかったが,DCSによる筋の2点同時計測可能なシステムを作製することができ,体表に装着する際に対応する光プローブホルダーの作製に取り組むことができた。
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今後の研究の推進方策 |
手技療法を施した被験筋以外の部位に対して2021年度に作製したDCSを用いて手技療法を施した筋と手技療法を施していない他部位の筋血流応答を計測するための2部位同時計測による検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に購入した機器の金額が予定金額より安価に購入できたことと独立基盤形成支援からの購入が可能であったため次年度使用額が生じた。次年度は,手技療法前後の施術筋の硬さの変化を客観的に計測するための機器の購入を検討している。
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