研究課題/領域番号 |
21K11459
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
北岡 祐 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (30726914)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 電気刺激 / エクサカイン / がん悪液質 / 運動 |
研究実績の概要 |
マウスを用いた単回の骨格筋電気刺激実験において、ミトコンドリア新生のマスター遺伝子であるPGC-1α(Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-alpha)をはじめとした遺伝子の発現が一過性に増加することが確認された。これらの変化は、24時間毎に電気刺激を繰り返すうちに減弱または消失することが明らかとなった。同じプロトコルの刺激であるにも関わらず、繰り返すことにより適応が抑制されるメカニズムは不明だが、血中に存在する因子の中で運動刺激による遺伝子発現の変化を反映するものがないか、検討を進めていきたいと考えている。また、安静マウスと比較して、電気刺激を負荷したマウスでは、非刺激筋においてもPDK4(Pyruvate dehydrogenase kinase 4)など一部の遺伝子の発現が高まることが明らかとなった。したがって、電気刺激による筋収縮をトリガーとして何らかの因子が血中に分泌されると考えられる。また、がん悪液質モデルマウスに対する運動の効果について、4週間回転ホイール付きケージで飼育することによって検討した結果、骨格筋の重量やクエン酸脱水素酵素などのミトコンドリア酵素活性および分裂・融合に関わるタンパク質量の低下が抑制されたのに加えて、腫瘍重量の低下が認められた。運動の全身性の効果を示すこれらの結果は、マイオカインあるいはエクサカインの存在を示唆しており、今後同定を進めるとともにバイオマーカーとしての可能性について検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同じ運動を繰り返すことの影響、および非活動筋への影響について明らかにできたから。
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今後の研究の推進方策 |
筋中および血中の代謝物質の濃度変化を測定し、遺伝子発現との相関関係について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の輸入に想定外の日数を要することが判明したため、次年度に購入することとした。
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