研究課題/領域番号 |
21K11463
|
研究機関 | 豊田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
加藤 貴英 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (00387614)
|
研究分担者 |
早坂 太一 豊田工業高等専門学校, 情報工学科, 教授 (50314092)
室賀 翔 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60633378)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 高炭酸ガス / 低酸素 / 換気 / 脳波 / 運動 |
研究実績の概要 |
動脈血二酸化炭素分圧の上昇および動脈血酸素分圧の低下は呼吸中枢を刺激して換気を亢進する.そのため,高炭酸ガス(高濃度CO2)吸入下および低酸素吸入下における運動中の呼吸応答は空気吸入下と比較して異なる応答を示す.本研究では,高炭酸ガス吸入および低酸素吸入が運動時の呼吸応答に及ぼす影響について脳波解析を加えて検証することを目的として実験を行った. 20歳代の男性被験者を対象に,3条件下で自転車エルゴメーターを用いた一定負荷運動実験を中強度(最大負荷の45%程度)と高強度(最大負荷の80%程度)でそれぞれ実施した.3条件については,1)空気吸入,2)高炭酸ガス吸入(酸素濃度21%,二酸化炭素濃度3%,窒素バランス),3)低酸素吸入(酸素濃度16%,窒素バランス),とした.実験プロトコールは,運動前安静10分,運動6分,運動回復6分であった.事前に3条件下で最大運動負荷試験を実施し,負荷強度を決定した.運動中の呼吸応答指標は自動呼気ガス分析器を用いて,脳波はワイヤレス脳波計を用いて記録した.今年度(2023年度)も昨年度と同様に7名の被験者から中強度および高強度運動中の呼吸応答指標と脳波を記録することができた.昨年度と合わせ,最終的に中強度運動と高強度運動ともに被験者14名分のデータを得ることができた. 酸素摂取量,二酸化炭素排出量,換気量の時系列データを非線形最小二乗モデルにフィッティングし,変化動態をそれぞれ評価した.結果,低酸素吸入時の酸素摂取量の立ち上がり動態が空気吸入時および高炭酸ガス吸入時と比較して遅れること,高炭酸ガス吸入時の二酸化炭素排出量が空気吸入時および低酸素ガス吸入時と比較して低下することが示された. 脳波の周波数解析からは,低酸素吸入時および高炭酸ガス吸入時のα波とβ波が空気吸入時と比較して運動前に増幅することが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,昨年度(2022年度)に被験者10名を対象に中強度運動負荷試験を実施し,今年度(2023年度)新たに被験者10名を対象に高強度運動負荷実験を実施する予定であった.しかしながら,実験で使用する試料ガス(高炭酸ガス:3種混合ガス,低酸素:2種混合ガス)は高価であり,発注から納期までに数ヵ月かかる.また,ガスボンベのレンタル期間も1年間と限られている.そのため実験の効率化を図り,昨年度から年度を跨がず同一被験者で予備実験の最大運動負荷試験(3条件1セット)および中強度と高強度の運動負荷実験を実施することとした.今年度(2023年度も)も昨年度(2022年度)と同様に被験者7名に中強度と高強度の運動負荷実験が実施できた.昨年度と合わせて最終的に中強度運動と高強度運動ともに被験者14名分のデータを得ることができた.解析も予定通り進んでいることから,おおむね順調である.
|
今後の研究の推進方策 |
予定していた3条件下(高炭酸ガス吸入,低酸素ガス吸入,空気吸入)での中強度および高強度運動負荷実験を完了し,得られた呼吸応答指標データと脳波の解析を進めている段階である.これら解析結果から,吸気ガス濃度の違いが呼吸応答指標動態および脳活動活性状態に及ぼす影響を先行研究文献と摺り合わせて検証し,その成果を国際会議等で発表する予定である.最終的に論文として成果発表する予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
成果発表の経費で余剰が生じた.今後の学会参加費,論文投稿費等にあてる予定である.
|