研究課題/領域番号 |
21K11464
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西野 衆文 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40581583)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジャンパー膝 / 膝蓋腱 / 超音波 / MRI |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ジャンパー膝の発症前から発症後までの経過における膝蓋腱の画像所見(超音波・MRI)の経時的な変化を明らかにすることである。本目的を達成するべく、ジャンパー膝の発症リスクが高いとされる競技種目の大学生アスリートの男女を対象として、定期的な検診と障害発生の追跡調査を実施している。検診では超音波とMRIの両方を使用し、膝蓋腱の厚さおよび性状変化(超音波で低エコー域・異常血流の有無、MRIで高信号変化の有無と範囲)を評価してから、膝蓋腱の運動時痛・圧痛の有無を確認している。 研究開始から現在までに、合計85人のアスリートが研究に参加した。1年以上の経過観察が可能であった62人123膝のうち、10人14膝(11.4%)は初回検診時にジャンパー膝と診断した。残り109膝中、期間中にジャンパー膝を発症した例は7人9膝(8.3%)、ジャンパー膝の症状が改善した例は4人5膝であった。画像所見は対象全体では経時的に有意な変化はなかったが、ジャンパー膝の発症例では膝蓋腱近位の厚さが超音波・MRIともに増大し(超音波:5.9→7.2 mm、MRI:6.4→8.3 mm)、性状の変化も低エコー域33→67%、異常血流56→100%、MRI高信号変化56→100%といずれも増加していた。また、発症前から性状変化の陽性率は非発症例より高い傾向があった(超音波:56% vs 11%、MRI:56% vs 35%)。一方、改善例では低エコー域・MRI高信号は症状の改善前後で変化なく、異常血流は100→60%と減少傾向がみられた。 この結果から、膝蓋腱の厚さ・異常血流は症状とともに増減するが、低エコー域やMRI高信号変化は症状が改善した後も残存しやすいと考えられた。また、ジャンパー膝発症例は初検時から画像上の変化をもつ割合が高い傾向があり、リスク評価に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者含めた関係者の協力により検診は定期的に行うことができている。これまでのところは順調に新規対象と継続対象のデータが蓄積されてきている。これらの結果を基に解析を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は2022年度の新入生も追加し、検診および追跡調査を継続していく。既に研究継続中の症例についても、評価結果をまとめ、リスク因子の抽出など更なる解析を進めていく。また、それらの結果について学会報告、論文化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に抄録投稿を予定していた国際学会、国内学会への学会発表を新型コロナウィルス感染拡大の影響により断念したため、旅費での大幅な実支出額の減額があった。予定していた国際学会、国内学会での学会発表を果たし、そのための旅費及び学会参加費として使用予定である。
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