研究課題/領域番号 |
21K11477
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
林田 敏裕 筑波大学, 体育系, 特任助教 (10875793)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動部活動改革 / 地域移行 / 組織的要因 / ガバナンス / 組織間関係 / 時系列的過程 |
研究実績の概要 |
本年度は、地域移行の実現を規定する組織的要因を明らかにすることを目的に調査を進めた。具体的には、公立中学校に対するアンケート調査を実施するとともに、地域移行を行った/行う予定の学校を対象としたヒアリング調査を行った。 まず、アンケート調査については、2023年7月から8月の期間に公立中学校3307校を対象に行った。有効回答は1045であった。得られたデータの分析を行い、地域移行の進捗状況(①地域移行の実施・検討状況、②地域移行の実施予定、③地域移行の実施予定曜日・形態、④地域移行により生じるデメリットなど)を把握した。この分析により、地域移行を一部もしくは全運動部で行っている学校が1割にも満たない状況が明らかにされた。また、令和7年度までに地域移行を行う予定の学校については5割程度となっていることが示された。さらに、以上の地域移行の実施状況や実施予定と学校の基礎的特性(学級数、教員数、運動部数、組織文化など)の関連を分析したところ、学校の規模が大きく、部活動に関して革新的な組織文化を有する学校が地域移行を進める傾向にあることが明らかにされた。 次に、ヒアリング調査に関しては、2023年8月から地域移行を行っている学校及び地域移行の準備を進めている学校、さらに都道府県教育委員会における部活動の地域移行に関わる業務担当者を対象に行っている。ヒアリング調査の主たる内容は地域移行の実現に向けた取り組みの変遷である。得られたデータをもとに、組織的対応の時系列的過程として分析を進めた。この分析からは、地域移行を進める主導的人物の存在が地域移行の実現の重要ファクターになることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は地域移行を実現した学校に対するヒアリング調査を完了し、その結果をまとめる予定であった。しかし、調査対象とした学校の中には地域移行を開始する時期が遅れて2024年度からになった事例校があるため、2024年度も継続してヒアリング調査を実施する必要が生じた。そのために、研究の進捗が遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
地域移行を実現した学校及び本年度から地域移行を実施する学校に対するヒアリング調査を継続する。また、得られたデータを時系列的過程に再構成し、比較事例分析を行う。この分析により、地域移行の実現に向けた組織的なダイナミズムとそれを促す組織的な条件・要因の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒアリング調査を継続的に実施するため、調査旅費及び人件費が生じた。 また、収集したデータを報告するための学会参加に係る費用(旅費、参加費)及び論文投稿に必要な英文校正費が発生した。
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