研究課題/領域番号 |
21K11478
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
難波 秀行 日本大学, 理工学部, 准教授 (80559790)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 身体活動 / 歩行動作 / 人工知能 / スマートシューズ / 足底圧 |
研究実績の概要 |
歩行における機械的エネルギー効率と身体活動量の関係を明らかにすることを目的に,35名の中高齢者を対象に歩行実験を行った.約10mの歩行路を通常歩行,速歩,ゆっくり歩行の3種類の歩行をそれぞれ5本づつ行わせ,床反力計による1歩行周期のエネルギー効率を評価した.同時にスマートシューズ(小型モーションセンサー内蔵)と足底圧分布を評価して,床反力計がなくても歩行のエネルギー効率を評価できるかを明らかにするために調査した.さらには,二重標識水による1週間のエネルギー消費量,3軸加速度計による身体活動量を評価しており,これらのデータと歩行の機械的効率(=総仕事量/エネルギー消費量)の関係性を明らかにすること最終目的としている. 現在,データの分析中であるが,歩行時のエネルギー効率と身体活動量の関係を明らかにすることにより,個別の最適な歩行量の目標値を算出できる可能性がある.さらには,歩行動作を改善することにより,歩行のエネルギー効率を高めることで,身体活動量を高め,モビリティを向上させることにつながる可能性がある.本研究の最終目標は,スマートシューズを用いて,歩行時に得られた各データに基づき人工知能によるフィードバックシステムを開発することである.個々に最適な範囲で身体活動量を増加させることができれば,糖尿病や高血圧などの生活習慣病を予防することに繋がり,高齢社会が抱える諸問題の解決に貢献できると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたとおり1年目に計画していた歩行実験をスムーズに進められた状況がある.その背景には,センサー開発企業,共同研究機関とのコラボレーションが円滑に進められたことが挙げられる.近年における加速度センサーは飛躍的に精度が上がっているが,その反面,集められるデータも膨大な量になっているため,データ分析を進めることが今後の課題であるが,研究はおおむね順調に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
2年目にはデータ分析を進め,3年目に計画しているスマートシューズによるAIフィードバックシステムの開発に向けて取組みを進めたい.とりわけ,床反力計およびスマートシューズにより収集したデータは,分解能が高く非常に膨大な量のデータを扱うことなる.したがって,解析ソフトの活用を含めて今後のデータ分析,アルゴリズム開発を計画的に進めることが今後の課題である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,足底圧分析システム一式の購入が採択予算内では困難であったため,一部をレンタルしたことによる.次年度はデータ分析が主な取り組みとなるので,解析ソフトウェアの利用に予算を使用する予定である.
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