研究課題/領域番号 |
21K11480
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
山崎 由紀奈 神奈川大学, 人間科学部, 非常勤助手 (20881973)
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研究分担者 |
衣笠 竜太 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (10409378)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 大腿二頭筋長頭 / MRI / 伸張性収縮 / 筋束 / 腱膜 |
研究実績の概要 |
ハムストリングスの筋損傷の約80%が大腿二頭筋長頭(以下、BF) で発症することから、効果的な損傷予防プログラムを確立するためには、BFの筋損傷が発生するメカニズムを明らかにする必要がある。BFは大腿部の後面にあり、疾走動作の伸張性収縮中、近位部での受傷が多い。その理由の1つとして、ヒトのBFの近位部は遠位部と比較して、腱膜の幅が狭く、伸張性収縮時の筋線維束(筋束)の伸張が大きくなるためと推測されている。さらに、腱膜の剛性が筋束の動態に影響を及ぼすことから、メカニズムを解明するには、腱膜の剛性に寄与する腱膜の形状についても筋束と同時に測定しなければならない。本研究は、伸張性収縮時のBF全域における筋束の動態(筋束の伸長量と短縮量)、BFの腱膜のひずみをそれぞれ近位部と遠位部で比較し、BFの力学的特性を検証することを目的とする。 2021年度は、新型コロナ感染対策として出張および実験が制限されたため、研究の進行スケジュールに変更が生じた。当該年度では、MR装置内で伸張性収縮時に用いる関節角度を決定するための基本情報を得るために、関節角度がBFの筋束および腱膜の形状に部位で異なる影響を生じさせるのかについて検証することとした。BFは股関節と膝関節にまたがる二関節筋であり、データ収集中は被検者が安静状態で各関節の角度が保たれるようにする必要がある。そこで、MR装置内で運用可能な、各関節の角度を固定できる装置を製作した。予備実験では、MR装置内で実施可能な計測可能な姿勢(関節角度)を検討し、拡散テンソル画像解析に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗状況が遅れている主な理由としては、新型コロナ感染対策として出張および実験が制限された期間が長かったことが挙げられる。また、既存の実験施設では、伸張性収縮中のMRI測定に必要な環境が整わなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本実験を2023年の春に実施するためには、解決すべき課題がいくつかある。1つ目は、関節角度を変えた際のMR画像を十分な画質で撮影することである。MR装置内の空間は限られており、計測姿勢によっては撮影対象部分の画質が十分に得られないことがある。2022年夏までに計測姿勢と撮影の設定を微調整する作業を行う。2つ目は、拡散テンソル画像解析の作業スピードを上げることである。拡散テンソル画像の専門家にアドバイスを乞い、解析作業を進めていく。3つ目は、伸張性収縮時のMRI測定が実施可能な実験施設の確保である。研究協力者研究協力者に実験施設の利用も含めて協力を依頼し、2023年の春に本実験を実施する準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由としては、新型コロナ感染対策の影響で国内および国外への出張が実現しなかったことが挙げられる。また、それに伴う研究スケジュールの変更により、予備実験に必要な物品等の購入に関して変更が生じた。当該年度に予定していた国内および国外出張は本研究の遂行に必要なものであり、次年度に実施予定である。当該年度から延期した内容の実験についても、次年度に計画している。
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