研究課題/領域番号 |
21K11482
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研究機関 | 新潟工科大学 |
研究代表者 |
伊藤 建一 新潟工科大学, 工学部, 教授 (10288251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 卓球 / 戦術要素 / 計測システム / 3次元軌跡 / リアルタイム |
研究実績の概要 |
卓球戦術では,ボールの回転,スピード,選手位置を考慮した打球コースなどが重要項目としてあげられ,これらの要素を試合の中で定量的に把握することが試合を勝利するために重要となる.本研究の目的は,卓球の戦術要素の定量化について包括的に技術的課題を解決し,デプスカメラを用いた卓球戦術要素のリアルタイム測定・分析システムの実用化技術を構築することである. 2021年度の研究項目及び成果は,以下の通りである. 1. 卓球ボールの3次元軌跡の計測:デプスカメラを用いて卓球ボールの連続的な3次元位置を計測し,3次元軌跡を生成できることを確認した.なお,卓球ボールの速度と回転を規定し,さらに再現性高く飛翔させるため,検証実験には卓球ボールの射出機を用いた. 2. 卓球ボールの運動パラメータの推定:卓球ボールの3次元軌跡から運動パラメータ(運動初期の並進速度及び回転方向・回転速度)を推定する方法論を開発した.運動パラメータの推定値は,計測された3次元軌跡と運動モデルから生成した3次元軌跡の平均二乗誤差を目的関数とし,これを最小化する運動モデルの初期並進速度と初期回転方向・速度とした.探索にはメタヒューリスティックな最適化法を用いた.本研究で提案した方法で,運動パラメータを正しく推定可能か検証するために,運動パラメータの真値の分かっている3次元疑似計測軌跡データを用いて探索実験を行った.その結果,安定して高い精度で推定可能であることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究項目の「2.卓球ボールの運動パラメータの推定」について,方法論は開発しシミュレーションで有効性を検証したものの,実際に測定した軌跡で検証を実施することができなかった.来年度,実際に実験を行い有効性を確認したいと考えているが,そのためには各種並進速度・回転速度における正確な卓球ボールの空力係数が必要となる.この空力係数の算出のための数値流体モデルの開発が計算時間の問題で間に合わなかったのが遅れている理由である.
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今後の研究の推進方策 |
研究項目の「2.卓球ボールの運動パラメータの推定」を実施するために,まず数値流体モデルを開発し空力係数の算出を試みる.その後,卓球ボールの3次元軌跡を計測し,実際に開発した方法論を用いて運動パラメータを推定できるか確認する. また,並行して,当初の計画通りに,研究項目の「3. 画像データを用いた選手の2次元位置と姿勢の推定」と「4. 距離データを用いた選手の3次元位置・姿勢の推定」に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,デプスカメラの静止測定精度を計測するため,高精度XYZ軸ステージを購入予定であったが,動的な精度を検証した結果,不要であると判断した.また,新型の射出機も購入予定であったが,こちらは既存の射出機で性能的に問題がなかったため購入しなかった.これらによって生じた差額は,空力係数算出のための数値流体解析ソフトウェアや計算時間短縮のための高速パソコンの購入にあてる予定である.
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