研究課題/領域番号 |
21K11487
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
三谷 保弘 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (50567071)
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研究分担者 |
木村 佳記 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00571829)
小柳 磨毅 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (20269848)
山田 大智 大阪大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (60858562)
松尾 高行 大阪行岡医療大学, 医療学部, 教授 (80643593)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膝蓋骨 / 膝蓋腱 / 膝蓋腱付着部症 / 超音波画像診断装置 / 三次元動作解析装置 / ジャンパー膝 |
研究実績の概要 |
膝蓋腱付着部症(ジャンパー膝)は、ジャンプやダッシュ、ストップ動作などを繰り返すスポーツ選手に多く発生する。膝蓋腱付着部症は、膝蓋腱に過度な負荷が加わることにより、腱に微細損傷が生じることで発症するとされている。なかでも膝蓋腱の膝蓋骨付着部付近に発生することが多いことから、膝蓋骨後傾角の増大が同部の応力集中を引き起こすと考えられている。これらのことから、膝蓋骨後傾角を計測することは膝蓋腱付着部症の発生メカニズムを明らかにするうえでも重要であると考えられる。膝蓋骨後傾角の指標として、矢状面におけるX線像での膝蓋骨と膝蓋腱とのなす角(patella-patellar tendon angle: PPTA)が従来から計測されてきた。しかし、X線像による計測を頻回に行うことは困難であるため、新たな計測方法を考案する必要があった。そこで、超音波画像診断装置と三次元動作解析装置を併用し、膝蓋骨後傾角を計測する方法を考案した。超音波画像診断装置により膝蓋骨の上極と下極、脛骨粗面のそれぞれを描出し、同時にプローブに貼付した3点の反射マーカの座標軸を三次元動作解析装置により算出することで、PPTAを計測することができた。考案した新たな計測方法の信頼性を検証するために、予め距離と角度を設定した3つのランドマークに対して計測を行った。その結果、ランドマーク間の距離と角度の計測誤差は僅かであり、再現性のある計測方法であることが明らかとなった。また、異なる検者で計測したところ検者間信頼性を有することも明らかとなった。今後、異なる膝関節屈曲角などの条件下において膝蓋骨後傾角を計測し、膝蓋腱付着部症の発生メカニズムについて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、超音波画像診断装置と三次元動作解析装置の併用により、膝蓋骨後傾角を計測する方法を考案した。超音波画像診断装置にて膝蓋骨ならびに脛骨のランドマークを描出し、同時にプローブに貼付した3点の反射マーカの座標軸を三次元動作解析装置により算出することで、各ランドマーク間の距離と角度を計測するものである。これまで本計測方法における計測値の再現性と検者間信頼性を確認することができたが、新型コロナウイルス感染症による影響を受け、生体での計測が十分に進まなかった。また、生体での計測における信頼性と妥当性を検証するためにMRI画像での計測値との比較を予定していたが、同じく新型コロナウイルス感染症による影響を受け、十分に検証するに至らなかった。これらのことから、研究の進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、考案した新たな計測方法を用いて、生体での膝蓋骨後傾角の計測を進める。生体における膝蓋骨後傾角の信頼性と妥当性を検証するために、新たな計測方法を用いて計測した膝蓋骨後傾角と、同条件下においてMRIで計測した膝蓋骨後傾角との比較を行う予定である。また、異なる膝関節屈曲角での膝蓋骨後傾角を計測し、膝関節屈曲角と膝蓋骨後傾角との関係性を明らかにするとともに、膝蓋腱付着部症の発症要因について検討を進める予定である。得られた研究成果は、関連する学際領域において学会発表ならびに論文投稿へと進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に予定していた物品費、旅費、人件費、謝金が一部不要となったため、差額が発生した。2023年度は、計測に伴う物品費、人件費、謝金、成果発表のための学会参加費と旅費、論文投稿に関わる費用が必要となる。
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