研究課題/領域番号 |
21K11494
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 清香 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (20648521)
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研究分担者 |
芳賀 信彦 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 自立支援局長 (80251263)
三原 雅史 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80513150)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 先天性上肢形成不全 / 義手 / 脳機能評価 / NIRS / 動作解析 |
研究実績の概要 |
過去の研究成果の中で、本邦における義手の適応となる先天性上肢形成不全児の年間出生推計数がおよそ63名であることや、また国内における小児義手診療の地域偏在の現状を明らかにしてきた。本邦では上肢欠損児に対する義手の処方は行われないのが一般的であり、思春期以降に外見が気になるという理由で装飾用義手を希望し、装着することが多い。一方で実際に先天性上肢形成不全児にとって真に医学的に必要と考えられる義手とは何かは明らかでない。 本研究は、上肢欠損児・者の患側上肢の義手操作スキル向上に伴う脳の神経可塑性変化や、脳の運動野や感覚野のマッピングに与える影響を明らかにするものである。近年、脳梗塞後の脳の神経可塑性研究を通じて、中枢神経障害後の機能回復の過程における脳神経の可塑性変化が大きいことが明らかになりつつある。上肢欠損者の義手操作スキルの違いによって、患者の脳神経可塑性や脳機能マッピングに影響があることを示唆しており、この特徴を明らかにすることにより、エビデンスに基づく治療方法の確立を目指すものである。 研究方法としては先天性上肢欠損児・者において、同一課題についての動作解析を行い、その操作スキルを、対象者の操作利用している義手の種類、義手の使用開始時期、使用期間、使用頻度に応じて評価を行う。また、先天性上肢欠損児・者において、義肢の使用状況毎(日常的に義手を利用している場合/義手の訓練をしたが日常的な使用に至らなかった場合/義手を利用したことがない場合)に、脳機能マッピングを行いその特徴を比較する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、先天性上肢欠損児・者のリクルートを行う予定であった。義手の種類・使用開始時期・使用期間・使用頻度について、その操作スキルについて評価・動作解析を行うこととしていた。しかし、新型コロナウイルス感染症に伴う2021年以降の影響もあり、調査対象の候補と考えていた児の受診がかなわず、評価や動作解析を実施できなかった。 本研究で評価対象と考えているのは、幼児から小学生世代の先天性上肢形成不全児で、筋電義手ないしは能動義手が導入済みで、操作スキルが一定以上あり、日常生活動作で義手を使用可能な児としている。当初予定していた児は20名と考えていた。現時点で、リクルートできている児は8名である。新型コロナウイルス感染症の社会情勢が落ち着くなかで、さらにリクルートを進めていく。 先天性上肢欠損児の上肢機能の評価方法としてPUFI(The Prosthetic Upper Extremity Functional Index)の導入について、PUFI2日本語版の完成準備が進んでおり、引き続きこれの活用も並行して検討している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症に対しての対応が2023年度は落ち着く見込みとなり、通常診療体制に戻ることが期待される。 これにより、受診抑制と研究協力が得にくかった状況が改竄される見込みのため、対象者を引き続きリクルートしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症の蔓延に伴い、被験者となる患児の受診が予定通り進まず、受診控えとともに研究協力が困難であったため。
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