研究課題/領域番号 |
21K11497
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
重松 良祐 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (60323284)
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研究分担者 |
笹井 浩行 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (60733681)
種田 行男 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (30185178)
中田 由夫 筑波大学, 体育系, 准教授 (00375461)
笹山 健作 三重大学, 教育学部, 准教授 (20780729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動部活動 / ガイドライン / スポーツ / 専門化 / 運動時間 / 全国大会 / 児童 / 生徒 |
研究実績の概要 |
スポーツ種目を早期に1種目に限定してしまう早期専門化は、スポーツ傷害との関連が深い。しかし、今までの研究は海外で、またエリート選手を対象にして検討されており、国内の非エリート選手、つまりスポーツ人口の大多数を占める運動部活動の児童・生徒については検討されていない。そこで本研究では、運動部活動中の傷害(外傷+障害)の抑制を最終的な目的に位置づけ、以下の研究を実施した。運動時間と専門化の2つを傷害リスクの要因と定義し、三重大学教育学部に在籍している大学生830名を対象に質問紙調査を実施したところ、570名から有効回答を得た。そのうちの486名が小学校~高校で部活動などに所属して運動を経験していた。分析の結果、運動経験者の54%に外傷や障害の受傷経験があり、また男性や中学校・高校で受傷する人が多かった。運動時間は校種が上がるに連れて増加していた:小学校低学年4%、同高学年21%、中学校35%、高校41%。複数種目者が最も多かった校種は小学校高学年で、運動経験者の30%が実践していた。一方、中学校や高校ではそれぞれ90%、99%が単一種目しか実施していなかった。このことからスポーツの専門化は中学校で生じていると考えられた。運動時間と専門化の2要因の影響を分析したところ、両要因とも傷害リスクには有意に関連しておらず、全国・県大会への出場が有意に関与していることが判明した。 以上のことから、今後は全国・県大会への出場に関わる要因の影響力を定量化する必要がある。また、スポーツ庁のガイドラインに従って運動時間は短縮しているが、それによる傷害発生状況も併せて調査する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
進捗が遅れているのは、研究代表者が2022年度に別機関に異動し、環境が大きく変化したことが最大の要因である。現在は、新所属機関で調査が実施できるように環境を整えつつ、前所属の教員を研究分担者として迎え入れ、進捗するよう準備している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は前所属で質問紙調査を実施し、スポーツ庁の部活動ガイドライン施行後の傷害発生状況を調査する。対象者は800名(4学年×200名)を予定している。また、運動時間や専門化の状況に加え、全国・県大会への出場の有無や出場に関連する要因も調査する予定である。これらは量的な調査であるが、質的な調査も実施する。質的な調査では、運動部活動に所属した経験のある大学生を対象にインタビューを実施し、受傷したことがあればその原因を半構造化面接法で尋ねる。受傷したことが無かった場合、なぜ受傷せずに運動を継続できたのかを尋ねる。このようなインタビュー記録を構造構成的質的研究法にて分析し、傷害に繋がる要因、そして傷害を避けられる要因を探索する。これらの調査については現所属機関ならびに前所属機関の研究倫理審査を受けている。インタビューはオンラインで実施することから新型コロナウイルス感染症の罹患を避けることができる。上記の調査の後は、新所属において同様の方法で調査し、異なる集団でも同様の知見が得られるのかについて検討する。ここでも対象者は800名(1学年×800名)を予定している。 このような調査を経ることで所期の研究目的である、運動部活動中の傷害(外傷+障害)の抑制を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が予定通りに進捗していなかったために次年度使用額が生じた。 2023年度に研究を推進する目処が立っており、そこで使用する計画である。
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