研究課題/領域番号 |
21K11500
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
名塩 征史 広島大学, 森戸国際高等教育学院, 准教授 (00466426)
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研究分担者 |
森本 郁代 関西学院大学, 法学部, 教授 (40434881)
傳 康晴 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70291458)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 武道 / 実践的指導-学習過程 / 相互行為論 / 形/型 / シミュレーション / 模倣 / 分析的指導 / 理解/把握 |
研究実績の概要 |
令和5年度では、武道の稽古において特に重要と思われる「型」に注目し、「型」に志向する指導-学習インタラクションを支える諸要素に焦点を当てた分析と考察を行った。主な要素としては、模倣やシミュレーションといった練習法、技/形の分節化や分析的記述といった指導法、稽古活動の体系化や定式化などが指摘され、その中から研究者/分担者それぞれの関心に即していくつかを焦点化し、担当するデータを用いた分析が進められた。その成果は、令和5年7月にベルギーで開催された国際語用論学会(IPrA)研究大会に採択されたパネルセッションで報告された。同セッションでは、他の芸道研究者からの意見も取り入れた多角的な議論も実現した。 また令和6年2月には、国立国語研究所にて本研究事業が主催するシンポジウム「「わざ」を伝えるマルチモダリティ: 武道・芸道における指導-学習インタラクション」を開催した。ここでは本事業の研究期間全体を通して得られた成果を報告するとともに、これまでにすでに一定の成果を上げている「わざ言語」に関する一連の研究との整合性を確認し、今後の課題と発展の方向性を示した。本シンポジウムでは、これまでの武道研究においては、各技やその習得法の捉え方が指導者や熟練者の視点から記述されていることが指摘され、そのため習得の途上にある学習者の練習場面(稽古)の中に見られる「未熟な」技の実践(模倣や反復)は、当該武道の特徴として熟練者が実践する/語る技とは、多くの点で異なることが示唆された。その事実を踏まえた上で、改めて稽古中の指導者/学習者の言語と身体に注目し、技の伝承、すなわち、学習者の身体を熟練者の身体へと近づける手続きが、具体的にはどのように行われているのかについて分析・考察した成果を報告した。本シンポジウムには、本科研の構成員以外の研究者も発表者に迎え、多様な聴衆との間で充実した議論を行うことができた。
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