研究課題/領域番号 |
21K11531
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
青山 清英 日本大学, 文理学部, 教授 (20297758)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コーチング学 / スポーツ医科学 / スポーツの倫理・哲学 / 競技力論 / トレーニング論 / 試合論 / アスリートの準備 / ピリオダイゼーション理論 |
研究実績の概要 |
2021年度の研究課題は、申請者の前回の科学研究費採択研究(課題番号17K01738)の継続研究として、まず、日本と欧米(英語圏・ドイツ語圏)及び東欧(ロシア語圏)のスポーツ指導者養成プログラムの内容を分析し、整理された内容を再検討した。さらに、当該プログラムの学習課題や講座の受講方法、運用方法などについて分析を行った。その結果、日本と英語圏の養成プログラムはほぼ同様なコンセプトのもとに構成されていた。具体的な内容としては、①倫理学、心理学、教育学などの知見を援用した対人関係に関する知識・技能、②スポーツ諸科学の知識の習得が中心であった。また、近年のアクティブ・ラーニングの重要性をふまえ、実践を考慮した実習形式のプログラムも用意されていた。 これに対して、ドイツ語圏では、日本や英語圏と同様なスポーツ諸科学に関する講座が設置されているが、日本や英語圏のプログラムがスポーツ医科学を中心に網羅的に設定されているのに対して、日本のコーチング学を構成している競技力論/パフォーマンス論、トレーニング論、試合論に関連する個別テーマで講座が構成されていた。これらの知識内容は現場からの帰納的方法によって整理されているため、スポーツ指導者に要求される知識としては極めて実践的といえる。これは歴史的にみてドイツ語圏のスポーツ指導者養成のための一般理論(Trainingslhre)を中心に発展してきたためと考えられた。 ロシア語圏では、内容的にはドイツ語圏のそれと同様な内容が中心となっていた。一方で、日本や英語圏及びドイツ語圏で学習内容となっている「対人関係論」を中心としたスポーツ指導者の倫理的教育が「オリンピック教育」として行われている点が特徴的である。オリンピック教育に関わる内容がコースワーク全45単位中9単位、20%を占めていることはロシア語圏におけるオリンピック教育の重要視がうかがえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究課題は、申請者の前回の科学研究費採択研究(課題番号17K01738)の継続研究として行ったので、資料の収集・分析等が順調に行われた。また、次年度に向けた資料収集も順調に進んでいる。特に、次年度に分析予定の「全国体育系大学学長・学部長会」による「体育・スポーツ学分野の教育の質保証における参照基準」に関しては、成案として確定した資料を得ることができたので、次年度の研究遂行はスムーズに進むと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、まず2021年度の分析結果をふまえ「体育・スポーツ学の参照基準」を批判的に検討する。さらに、体育・スポーツ学の近接領域であり、実務者養成を含む代表的な学問領域である「教育学」と「心理学」における「参照基準」を分析し、「純粋な学問(理論)内容としての参照基準」と「実務者養成のための参照基準」の関係を明らかにする。
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