研究課題/領域番号 |
21K11536
|
研究機関 | 関西福祉大学 |
研究代表者 |
山本 浩二 関西福祉大学, 教育学部, 准教授 (60636158)
|
研究分担者 |
中須賀 巧 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (10712218)
島本 好平 法政大学, スポーツ健康学部, 准教授 (20610380)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | フィードバック / スポーツ参与 / 体育授業 / 学習成果 / 尺度開発 / 相互作用 / 教師行動 |
研究実績の概要 |
本年度では,当該研究課題を達成するための基礎的研究として,2回にわたる研究調査を実施した. 研究Ⅰでは,中学校体育における教師のフィードバック(FB)の認知構造を明らかにし,その測定尺度の開発を通じて,体育授業の学習成果への影響を検討した.まず,教師のフィードバックは「称賛」,「助言」,「授業態度に対する注意」,「運動技能に対する指摘」として生徒から認知されており,その評価尺度として16項目が開発された(1因子4項目).次に,重回帰分析の結果,男女に共通して肯定的・矯正的FBの認知が,学習成果に有意な正の影響を及ぼしていたことから,学習成果を促進する要因の1つに,肯定的なFBの有効性が示された.男女それぞれにみると,女子において運動学習場面での指摘が,運動技術の習得や知識の修得,そして魅力の感受にそれぞれ負の影響を与えていた. 研究Ⅱでは,中学生の運動・スポーツへの多様な関わり方(スポーツ参与)を包括的に評価する尺度の開発を通じて,体育授業の学習成果がスポーツ参与に及ぼす影響を検討した.まず,スポーツ参与は「運動・スポーツからの回避」,「運動・スポーツへの期待」,「運動・スポーツを通じた充足感」であり,その評価尺度として16項目が開発された.次に,体育授業の学習成果がスポーツ参与に及ぼす影響について検討したところ,男女ともに「運動技術の習得」と「運動の魅力の感受」が「運動・スポーツへの期待」と「運動・スポーツを通じた充足感」にそれぞれ有意な正の影響を及ぼしていることが明らかになった.また,「運動の魅力の感受」は「運動・スポーツからの回避」に有意な負の影響を及ぼしていることが示された.これらのことから,体育授業の運動技能の習得や運動の楽しさの経験が,スポーツ参与に正に影響することが示唆された.なお,研究Ⅱにおける結果の一部は,日本スポーツ心理学会第48回大会において発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題について,交付申請書に記載した「研究の目的」や「研究実施計画」に照合して進捗状況をみると,概ね順調に進行している.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題における調査は,令和4年度において3度の縦断調査を予定している.その縦断調査の倫理審査はすでに令和3年度に申請し,調査実施が認められている.また,調査対象となる中学校においても研究協力者の協力によって,およそ2校(500から700人程度)の協力校を確保している.また,令和3年度に引き続き,本研究を通じて得られた知見は国内の関連学会や英語圏の学会(European College of Sport Science)等において発表する.さらには,ソーシャルネットワーキングサービスを利用して広く社会に発信するとともに,学術論文を執筆するなどしてまとめる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により,学会大会や研究分担者との打ち合わせ,研究調査協力校への依頼等に伺うために計上していた旅費を使用しなかったことが大きな理由である.
|