研究課題/領域番号 |
21K11537
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研究機関 | 倉敷芸術科学大学 |
研究代表者 |
枝松 千尋 倉敷芸術科学大学, 生命科学部, 准教授 (80351948)
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研究分担者 |
高橋 康輝 東京有明医療大学, 保健医療学部, 准教授 (40375481)
宮川 健 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (70279008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 姿勢制御 / 重心動揺検査 / フィードフォワード制御 / 予測的姿勢制御 |
研究実績の概要 |
【目的】今年度は、視覚情報を急変させた時のイニシャル・フェーズにおける姿勢フィードフォワード制御の過渡応答を明らかにすることを目的とした。 【方法】被験者は健康な男性6名(年齢22.0±0.6歳)であった。静止立位時の重心動揺を床反力計を用いて100Hzにて計測した。視覚情報を急変させるために室内を暗転させた。まず室内を明るく保ち重心動揺を12秒以上計測し、そこで暗転し真っ暗な状況で12秒以上の計測を連続して行った。これを被験者につき20回行った。Nagano et al. (2010)が報告した重心動揺の動的解析法は、時間間隔による検討ができることから、フィードフォワード制御とフィードバック制御に分けてCOP変動を検討することが可能である。本研究では、この手法の時間分解能を高め環境を急変させた時のイニシャル・フェーズにおける姿勢フィードフォワード制御の過渡応答を解析した。 【結果と考察】暗転の時点からフィードフォワード時の方向変化が小さくなったのは0.8秒後であった。その後、0.9秒後にCOP速度が大きくなり、COP変化量は1.1秒後に大きくなった。つまり、まず視覚情報の消失から予測的姿勢制御が影響を受け、その後、COP速度が増加することが明らかとなった。一方、暗転時点から0.8秒間は視覚情報消失の影響を受けなかった。このことから、neural storeにアーカイブされた0.8秒前までの視覚情報の履歴を用いた予測性フィードフォワード制御を行っている可能性が示された。 【結論】視覚情報消失のイニシャル・フェーズにおいて、まずはフィードフォワード期間の方向変化が小さくなり、その後COP速度が増加することが明らかとなった。このことから、静止立位時において予測的姿勢制御によるフィードフォワード制御が重要な役割をしている可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響により、高齢者を被験者とした実験ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は体性感覚情報を急変させた時の姿勢フィードフォワード制御の過渡応答について研究を行う。新型コロナの状況を判断し、可能であれば高齢者を被験者とした実験も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会への参加が新型コロナの影響で亡くなったため。 使用計画としては、データ量が予定よりも多くなりそうなため、HDDを購入予定。
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