研究課題/領域番号 |
21K11553
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉山 佳生 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (50284922)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 心身準備性 / 噴火被災地域 / 体育授業 / 小学生 / インドネシア |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は,インドネシアの噴火災害発生地域在住の小学生を対象に,今後再び発生が予想される噴火による災害,および,COVID-19のような感染症の流行というダブルハザードリスクに対して,事前に獲得しておくことが期待される心理社会的および身体的準備性(心身準備性:psycho-social and physical preparedness)の内容を明らかにした上で,それらの獲得を規定している要因を解明すること,および,この心身準備性が身につけられるような体育授業プログラムを構築し,小学校の体育授業で試行し,その有効性を検証することである。令和5年度は,火山に近い郊外の小学校と都市部の小学校で行われた体育授業において,心身準備性の獲得を企図した体育プログラムを実施し,その効果を検証した。このプログラムには,小学4-6年生154名(郊外校72名,都市部校82名)が参加した。調査内容については,研究協力者等との議論を通して,すでに作成されていた「噴火災害に対する心身準備性」を測定するための尺度(社会的,心理的,身体的,スピリチュアル的準備の4因子各10項目で構成)の項目のほとんどが,「感染症の流行に対する心身準備性」の測定にも用いることができることが確認されたため,これらの項目を用いて,「自然災害に対する心身準備性」を測定することとした。また,本研究で対象としているハザード,すなわち,「噴火災害」と「感染症の流行」に対する態度が,心身準備性やその向上にどのように影響しているのかを検討するために,それぞれの災害に対する「懸念(worry)」および「対応できるかどうかにかかる自己効力感(self-efficacy)」を,合わせて測定した。これらのデータの収集はすでに終了し,現在,分析を行っているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19流行の収束により,ようやく,計画していた現地での実践調査を行うことができたが,分析等に時間を要しており,当初計画よりも幾分遅れている状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの実践調査の分析結果を踏まえて,追加の調査や情報収集の必要性を検討する予定である。また,本研究における重要資料である「Pendidikan Jasmani dan Olahraga Untuk Keisiapsiagaan(準備性のための体育・スポーツ)」の翻訳作業を,継続して行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
調査の遅延や制限により,人件費・謝金に未使用分が生じることとなった。これらの経費については,データや関連情報の追加収集・整理・分析を促進するために使用する予定である。
|