研究課題/領域番号 |
21K11554
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
宮口 和義 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (60457893)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 縄跳び / 石川なわとび検定 / 骨密度 / YouTube / 児童 / ビーズロープ |
研究実績の概要 |
引き続く新型コロナの影響で、学校現場での測定・調査はとても苦労したが、令和3年度に縄跳びパフォーマーの田口氏と作り上げた各種縄跳び運動(YouTube動画教材)の普及に努めた。石川県内でもGIGAスクール構想が進んでいるが、特に縄跳び初心者からでも挑戦できる「石川なわとび検定(8級から1級)」の需要が高く、多くの小学校や放課後児童クラブから招待され講習会を行った。その様子はNHKをはじめ多くのメディア(テレビ・新聞等)でも取り上げられた。 また、100円均一ショップで販売されている一般的なビニール製の“とび縄”では捩れが生じ、技の習得が難しいことから、学校体育用品メーカーの「淡野製作所」にお願いして。田口氏監修の元、ビーズロープを製造してもらった。ビーズロープとはナイロン製のヒモにビーズを通した縄跳びで、ビニール製の縄跳びに比べて色味がきれいで、カシャカシャと音が出るのが特徴である。ナイロン製のヒモに通っているため「クセ」が付くこともなく、ロープが切れることも無い。また、ビーズの重さによって回す感覚がつかみやすく、前跳びを初めて練習する子供や二人跳びに適している。学校現場(保育園含む)にはまだまだ浸透していないが、今後はその普及にも努めたい。 令和4年度は主に縄跳び愛好者の骨密度を調べた。『運動(ジャンプ)中に骨に衝撃荷重が加わるため、一般人に比べ骨密度が高い』という仮説による。前出の田口氏や7重跳びのギネス記録を持つ森口氏の測定を行ったが、年齢基準の1.5倍の骨密度であった。また、パロマ瑞穂アリーナ(愛知)で開催された「全日本ロープスキッピング大会・東海地区予選会」にも出向き、参加者の骨密度も測定した。また、年間通して縄跳び運動を実践している石川県羽咋市立瑞穂小学校でも骨密度測定を行った。比較対照群として金沢市内の学童野球チームやサッカーチームの選手達の測定も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響で、学校現場での姿勢計測や骨密度測定が思うように進まなかった。そのため、著者と馴染みのある学童野球や少年サッカーチームの選手達にお願いして骨密度測定を行った。今年度に入り、ようやくコロナも落ち着いてきたので、今後は積極的に地元小学校に掛け合い、姿勢評価・骨密度測定を行っていきたい。現段階で小学校1校、福井県の縄跳びクラブ1カ所の骨密度測定が決まっている。なお、測定協力者への記念グッズも制作した。「石川なわとび検定」のQRコードが示してあるカードと、石川県かほく市特産品の組紐でつくったミニ縄跳びアクセサリーである。さらに「石川なわとび検定」が広がればと思っている。 幼児における縄跳び運動の効果(視覚情報からタイミングを合わせて動作を起こす能力)を昨年度、検証予定であったが、既存の測定システム(速度見越し反応時間測定器)が幼児には不具合であったため、予備実験等を繰り返し新たなシステムに切り替えた。この新装置で今年度は幼児の測定も積極的に行っていく予定である。協力してくれる保育園はすでに決まっており、現在は園児の縄跳び能力(特に大縄跳び)の測定を依頼している。 また、これまで保育園では安全面への配慮から布製の縄跳びを使用することが多かったが、軽量であるためタイミングが取りづらく、一番簡単な“前とび”の習得にも時間がかかっていた。淡野製作所と一緒につくった「ビーズロープ」を今後、保育関係者にも推奨していく計画をしている。特に、ビーズロープは適度の重さがあり、ビーズが地面にぶつかる音が出る。これによって、初めて前とびを練習する子供が回す感覚とリズムをつかみやすくなり、上達を早める効果がある。 昨年度はイベント開催が難しかったが、今年度はスポーツイベントを通して「石川なわとび検定」のさらなる普及に努めたい。
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今後の研究の推進方策 |
①児童の骨密度測定(姿勢評価) 縄跳び愛好者の骨密度データとして、福井県の縄とび教室(エーアイキッズくらぶ:了承済)へ行き測定を行う予定である。また、比較対照群として金沢市立諸江小学校の6年生(110名ほど)の骨密度測定を6月中に予定しており、学校長、養護教諭の了解を得ている。以上のデータが揃った段階で、昨年度に収集したデータと併せて、縄跳び愛好児童と一般児童との骨密度の比較検討を行う。できれば姿勢評価(キッセイコムテックのShiseiCam: すでに購入済)を用いた姿勢比較も行っていきたい。 ②幼児の速度見越し反応時間への効果 幼児の縄跳び能力(大縄跳びへの対応能力、各技の習得状況)を調査するとともに、ゲーム要素を盛り込んだ速度見越し反応時間測定を行い、その関係性を検証する。 その他としては、金沢市の伝統集団演技「若い力(第2回石川国体歌)」の縄跳びバージョンの考案、普及も計画している。「若い力」は、昭和22年(1947年)に開催された第2回国民体育大会(石川国体)に際して、“スポーツの歌”として制作された。戦後間もない昭和22年に、皆が心をひとつにしてこれからの日本を再建し、若い人たちが元気で、一生懸命に夢と希望を持って頑張ろう!そんな思いから作られた歌である。この歌に合わせた集団演技も創作され、金沢市では毎年9月に開催される小学校連合体育大会で、全市立小学校の6年生が市営陸上競技場で集団演技を行っている。この演技は70年以上に渡って受け継がれているが、“新型コロナからの復興”をテーマに、縄跳びを使った新たな振り付けを加えることで、子ども達に興味を持ってもらい、皆で演技し元気を発信していくことが有効と考えた。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費に関わる費用が予定より安価だったため、差額が生じた。使用計画については概ね変更なし。
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