研究課題/領域番号 |
21K11557
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
引原 有輝 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (10455420)
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研究分担者 |
渡邊 將司 茨城大学, 教育学部, 准教授 (80435213)
黒川 修行 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (30431505)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 運動遊び / 集団遊び / 社会情動的スキル / 児童 / 放課後 / ファシリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は、社会情動的スキルの形成をねらいとした発育・発達支援方略の開発において、2つの手引を作成することを目的としている。 1つ目は、運動(集団)遊びの実践手引の作成である。これは、子どもが遊びに夢中になれる環境を創出するために、児童館職員や放課後児童支援員のような子どもの遊びを支援する者が有効活用できるツールを指す。具体的には、①子どもの遊びが停滞(マンネリ化)していない状況、②子ども自らが自由に遊びを創意工夫できる状況、③人数・学年・性別を越えて誰とでも楽しく遊びが実践できる状況を理想形態とし、そのような状況を創出するために必要なファシリテーションスキルが盛り込まれたものである。2つ目は、子どもが主体的に遊びを実践する中で起きる子どもの問題行動(不満な態度、喧嘩、他者への罵声、遊びの妨害、仲間外れ、単独行動など)へのファシリテーションスキル(支援アプローチ)に関する手引である。 令和4年度上半期では,2つ目のファシリテーションスキルのための手引を作成するためのワークショップを2回開催した。参加者は、勤務歴10年以上の児童館職員(計12人)とし、児童館現場での遊びの実践中における具体的な問題行動の事例を列挙し、その事例に対する各職員のファシリテーション(支援アプローチ)を言語化した。その後、各職員から提示された支援アプローチの内容を、子どもとの関わり合いの段階を考慮して4つ局面に分類した。具体的には、第1局面が子どもとの接点を持つ段階、第2局面が子どもの気持ちを理解する段階、第3局面が子どもへ提案する段階、第4局面が子どもの行動変容を促す段階、の4局面である。また各局面の具体的な支援行動から、①対象者、②ねらいや意図、③態度・立場・役柄、④具体的な声掛け、⑤行為、5つの観点から整理した。現在、類型化したデータを元に、現場での使いやすい手引き(ツール)を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度に完了予定であった対面式のワークショップの開催時期が、コロナ禍の影響により令和4年度に延期したことが遅れのきっかけとなった。さらに令和4年度では開発した子どもの遊びを促進する支援方略の効果を検証するためのフィールド介入調査を予定していたが、コロナ対策等により介入調査を受け入れる現場が見当たらず、実施現場の選定に苦慮していることが主たる原因である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、フィールド介入調査により開発した支援方略の有効性について検討するために、介入対象となる実施現場の選定を行う。対象施設は、これまでに研究代表者と連携プロジェクトの経験を有する児童館あるいは放課後児童クラブを予定している。現時点での候補となる地域は、東京都墨田区、愛知県北名古屋市、北海道札幌市であり、これらの中から最終決定する予定である。 令和5年度上半期に対象施設を確定し、令和4年度に開発した支援方略(子どもの主体的な運動(集団)遊びのファシリテーションスキル)に関する情報提供を施設職員向けに行う。本研究では、介入期間を6ヵ月間と設定しており、介入開始前にベースライン測定、介入後に同一項目の再測定を実施する。放課後児童クラブの会員更新時期が毎年3月末であることから、ベースライン測定および介入開始時期を令和6年4月とし、再測定を同年9月もしくは10月に実施する予定である。なお、本研究課題の最終年度は令和6年3月末であるが、コロナ禍の影響に進捗に遅れが生じているため、補助事業期間延長承認申請書を提出する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、令和5年度から開始予定にしていたフィールド介入調査の対象地域が選定できなかったことが理由としてあげられる。そのため、介入調査の実施に向けた打ち合わせなどに係る旅費等の経費を使用しなかった。令和5年度では、介入調査の実施現場の確定と、介入調査の実現に向けての放課後児童支援員との打ち合わせ等に係る経費(旅費)を使用予定である。また、各現場で必要となる運動(集団)遊びの実施に伴う用具等の物品も購入予定である。
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