本研究は、代表者らが「ムーブメント教育・療法」を基盤にダンスや身体表現を強化して実践してきた「創造的身体表現遊び」の中でも、特に舞台発表を目指した取り組みが、発達障がい児の向社会的行動を促進するとの仮説のもと、その効果について明らかにすることを目的に計画された。本研究は、発達障がい児を対象とした舞台創作活動に継続的に取り組んできた放課後等デイサービスの実践を対象に、3年計画で構想された。 初年度である令和3年度(2021年度)は、まず、【研究①】「発達障がい児の向社会的行動や調査尺度に関する先行研究調査」と【研究②】「過去の記録映像を対象とした対象児らの向社会的行動の分析」を行った。「創造的身体表現遊び」による舞台創作活動が発達障がい児の向社会的行動促進に影響を与える要因として、「身体的同期の豊富さ」と「所属感の向上」の2点を見出した。2年目となる令和4年度(2022年度)においては、これらに焦点を当てた展開を検討し、【研究③】として、発達障がい児の向社会的行動の促進をねらったモデルプログラムを考案し、舞台創作活動を実践し、対象児らの向社会的行動について、VTR撮影及びフィードノーツによる観察記録のデータを収集した。さらに【研究④】として、スタッフ、保護者らに対するアンケート調査及びインタビューを実施し、発達障がい児の向社会的行動について調査を行った。 【研究③】においては、コロナウイルスの感染症の影響が続き、計画より舞台発表の回数や参加人数等の規模が縮小されたため、最終年度である令和5年(2023年度)にも舞台発表の実践を追加した。具体的には、連携施設の近隣にある里山公園の使用が可能になり、屋外パフォーマンスの発表へと発展した。【研究⑤】の研究総括としては、学会発表の他、単著「子どものウェルビーイングとムーブメント教育」(2024年5月、大修館書店)にまとめ公表した。
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