研究課題
健康寿命(自立して健康に暮らせる期間)の短縮は、QOLの低下だけでなく、社会経済的影響においても深刻な問題である。要介護状態は、健康寿命の終焉を示す指標の一つであり、リスク因子の解明と個人レベルでの予防は急務である。成人ではリアルワールドデータを活用した科学的エビデンスの創出が進む一方で、高齢者領域では研究実施に多くの障害があり、データ構築/分析が大きく遅れている。今回、独自の手法により、1万人の健診及び10年分の介護データを統合し、実際の現場診療実務者の医学的評価に基づいた、正確なアウトカム判定と組み合わせることで、介護分析に特化したリアルワールドデータベースを構築する。同データを長期縦断的に解析することで、従来の断面データや個別コホートの検討では得られない、介護未発症者から介護発症/重症化へ至るリスク要因を明らかとする。本研究は、以下に示す研究計画の通り、以下の1で構築したデータベースを基に2のプロジェクトを実施する。1. 健診・健康保険レセプト・介護発生/重症化を一体化したデータベースの構築匿名化した上で収集された薬剤/歯科情報を含む膨大なレセプト情報、臨床指標(血液検査/生活習慣調査)、介護要因並びに増悪の情報を含む介護保険情報を連結可能匿名化し、約1万人を個人突合する2. 介護発生の誘因となるアウトカムの発生及び介護発生/重症化リスクの解析95%以上の正確性をもつ独自システムを用いた診療内容の医学的評価を基盤とした手法から、イベントと介護保険情報と照らし合わせ、介護発生/増悪のリスク因子を分析する。
2: おおむね順調に進展している
計画通り進行している。確立したデータベースを基に、介護発生・増悪に関するリスク因子の検討を進める。
今回、95%以上の正確性をもつ独自システムを用いた診療内容の医学的評価を基盤とした手法から、心筋梗塞、心不全、脳卒中、腎透析、下肢切断、失明、骨折、認知症の発生状況を正確に判定する。その結果を、介護保険情報と照らし合わせ、介護発生/増悪のリスク因子を分析する。2. 機械学習と従来法の介護発生/重症化予測能の比較検証機械学習の手法を用い、従来法では困難とされてきた多数の臨床指標の複雑な相互作用を加味した分析結果を従来法と比較し、「個別化予防・個別化指導」の実践における機械学習の有用性を検証する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 12件、 招待講演 2件)
Diabetes and Metabolism Journal
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