研究実績の概要 |
課題①(フィージビリティスタディ)で示した実行可能性が良好であるという結果を踏まえ、課題②としてランダム化比較試験を実施した。PCを所有し、Eメールが利用可能な地域在住高齢者29名を介入群と対照群に、Webシステムを利用して層化ブロックランダム化した。介入群には、zoomを利用して週1回90分、12週間の「運動・栄養を中心とした高齢期の健康づくり」をテーマとしたアクティブラーニング型健康教育介入を行った。各学習課題(例:ウォーキングを継続する工夫を考える)について、『情報提供と学習課題提示→宿題→グループワークによる発表・共有→日常生活での実践』を一連の流れとした。対照群には、介入群と同様のテーマで週1回メールによる資料配信を行った。アウトカムとして、加速度計(ActiGraph GT3X-BT)により身体活動を7日間測定し、総活動時間と座位時間割合を算出した。また、オンラインフォームにより運動に関する行動学的スキル尺度(範囲:5-25点)を測定した。統計解析に関して、介入前後の変化量の平均差(対照群を基準)と95%信頼区間、標準化効果量(Hedges' g)を推定した 研究対象者は平均73.9歳、男性20名(69%)であり、介入群で14名(93%)、対照群で14名(100%)が介入後評価に参加した。介入群の出席率は83-100%(平均97%)であった。介入前後の変化量の群間差を算出した結果、総活動時間 (平均差[95%信頼区間]=22.0分/日[-16.8, 60.7],g=0.44)、座位時間割合 (-2.5%[-7.1, 2.1], g=0.41)、行動学的スキル尺度 (3.1[-0.2, 6.3], g=0.71)について中等度の効果を認めた。
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