研究課題/領域番号 |
21K11581
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
福内 友子 帝京大学, 薬学部, 講師 (10389116)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プリン体 / 尿酸値 / 高尿酸血症 / 痛風 / 定量 |
研究実績の概要 |
血清尿酸濃度の上昇は、食事によるプリン体の過剰摂取と深く関係している。一方で、大規模疫学調査によると痛風の発症または尿酸値上昇のリスクを上昇させる食品は、プリン体の“量”だけでは理解しがたい食品もあることから、プリン体の存在様式“質”も重要であると考えられる。本研究課題では、プリン体一斉分析(核酸、塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチド)による食品中プリン体プロファイリングを作成するとともに、食品ごとの尿酸値上昇への影響を定量的に評価することを目的とし、研究を進めている。 本年度は、特に核酸系うま味成分として遊離ヌクレオチド(イノシン酸、グアニル酸)を多く含むと予想されたカップ入り即席ラーメンや鍋用調味スープ、および疫学調査により痛風・高尿酸血症へのリスクが指摘されているがプリン体量が報告されていない貝類を中心として、プリン体プロファイリングを行った。 カップ入り即席ラーメンや鍋用調味スープは、1食あたりに摂取するプリン体量としては問題とならないが、核酸系うま味成分であるヌクレオチドよりもヌクレオシドの含有量が多く、味の種類によりプリン体組成に違いがあることが明らかになった。魚介類ベースの味にはアデノシンを特徴的に含んでおり、今後さらに、血清尿酸値上昇につながりやすいプリン体組成の解明につなげていきたい。 貝類のプリン体測定結果では、特にムール貝は、高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインによるプリン体量分類で「非常に多い300mg以上/100g」に相当する総プリン体量が含まれること、血清尿酸値上昇につながりやすいヒポキサンチン類の割合も多いことが明らかになった。食する量に注意喚起が必要である。貝類については未測定の食材が残っているため、その結果について早急に公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食品中プリン体のプロファイリングは順調に進んでいる。 また、帝京大学薬学部臨床分析学研究室のホームページに「プリン体値計算プログラム」(https:// teikyo.purine-lab.com/purine/)を公開し、尿酸値が気になる一般の方々が利用できるようプリン体測定結果を随時更新している。さらに、多くの方のご意見・ご要望を反映して、高尿酸血症・痛風における食事療法の提案や尿酸値が気になる方の食生活の改善に役立てていただけるサイトを目指して、献立メニューなどを含むコラムを拡充した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、食品中のプリン体含有量を定量する。食品中プリン体のプロファイリングを作成し、ホームページの「プリン体値計算プログラム」を拡充するとともに、多くの方のご意見・ご要望を反映して、高尿酸血症・痛風における食事療法の提案や尿酸値が気になる方の食生活の改善に役立てていただけるサイトの確立を目指す。 さらに、食事に由来するプリン体組成の違いに起因する腸管吸収様式、再利用率および肝臓での代謝動態への影響についても定量的に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析用カラム購入頻度が少なく抑えられたこともあり、消耗品として申請した額に差額があり次年度使用額が生じた。次年度は、食品破砕処理に使用する機器の付属パーツを追加で購入する予定があり、次年度分と合わせて使用していく。
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