• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

低出生体重-やせ型糖尿病の病態解明と乳清たんぱく質による新たな栄養療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K11582
研究機関日本大学

研究代表者

長野 伸彦  日本大学, 医学部, 准教授 (90794701)

研究分担者 森岡 一朗  日本大学, 医学部, 教授 (80437467)
岡田 知雄  神奈川工科大学, 健康医療科学部, 特任教授 (50177052)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードやせ型高血糖 / 高脂肪食 / 小児肥満 / PPARファミリ ー遺伝子 / インスリン抵抗性 / 体組成
研究実績の概要

1)幼仔期の栄養の違いによる病態解析(令和3年)
妊娠16.5日の妊娠マウスの子宮動脈の血流を15分間遮断した。その後、妊娠19日に出生した新生仔マウスを虚血群、非虚血(コントロール)群の2群に分類し、連日体重計測を行った。虚血群と非虚血群のマウスを離乳後(生後4週)から成獣(生後8週)までたんぱく質をカゼインとした普通食と高脂肪食に分けて飼育し、表現型および生化学的・遺伝学的解析について比較した。
結果:我々のモデルでは、子宮内虚血によって低出生体重仔が産まれた(虚血群:平均5.0g、非虚血群:平均6.1g)。離乳後普通食で、成獣期に低体重(虚血群:平均35.0g、非虚血群:37.5g)にも関わらず高血糖(空腹時血糖:虚血群は平均166 mg/dL、非虚血群は平均80 mg/dL)を発症し、高脂肪食では肥満(虚血群:平均52.3g、非虚血群:平均44.0g)と著明な高血糖(空腹時血糖:虚血群は平均213 mg/dL、非虚血群は平均144mg/dL)を発症した。成獣期(雌)の脂肪重量、除脂肪重量は、普通食では虚血群が平均17.8 g、17.2 g、非虚血群が平均18.2g、22.3 gであり、虚血群は非虚血群と比較して、除脂肪重量が軽かった。一方高脂肪食群の脂肪重量、除脂肪重量は、虚血群が平均35.4 g、16.9 g、非虚血群が平均29.6 g、15.7 gであり、普通食群と比較して、脂肪重量が高脂肪食群(特に虚血群)で重かった。インスリン抵抗性は、普通食群では、虚血群が非虚血群と比較して高値であり、高脂肪食負荷にて虚血群では更にインスリン抵抗性が増加した。肝臓を用いたPPARファミリー遺伝子の発現量の比較では、PPARαとPPARγ、SREBP1cの発現量が虚血高脂肪食群で顕著に多かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の研究計画で予定していた幼仔期の栄養の違いによる病態解析は、おおむね順調に進展した。子宮内虚血操作を行った妊娠マウスから出生した新生仔マウスは、普通食だと肥満にはならないが、高脂肪食を負荷すると顕著な肥満を呈することが明らかとなった。またその際に肝臓でPPARファミリ ー遺伝子は高発現していることを見出した。子宮内虚血操作を行った妊娠マウスから出生した新生仔マウスは、普通食でも成獣期に除脂肪重量の低下が原因で高血糖を発症すると考えられた。高脂肪食を負荷した際に顕著な肥満を発症するのは、子宮内虚血が胎児期に倹約遺伝子の発現に影響を与えることが機序として推察された。

今後の研究の推進方策

今後は、当初の計画通りに体組成改善効果のある乳性たんぱく質が筋肉量を増やし、肥満や高血糖に対する改善効果を有するのかについて研究を推進する。また、カゼインたんぱく質と比較して乳性たんぱく質がどういった面が優れているのかについて肝臓のメタボローム解析を用いて明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の流行で、当初予定していた国際学会や国内学会への参加が延期となり、その分の予算が使われなかったため繰越金が発生した。繰越金は、延期された学会参加費として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 低出生体重 糖尿病発症(DOHaD)の解明に向けての基礎研究2021

    • 著者名/発表者名
      長野伸彦、森岡一朗
    • 学会等名
      第124回日本小児科学会学術集会
  • [学会発表] 子宮内虚血を用いた低出生体重-非肥満型高血糖発症マウスモデルの病態解析2021

    • 著者名/発表者名
      長野伸彦
    • 学会等名
      第20回新生児栄養フォーラム

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi