研究課題/領域番号 |
21K11585
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
小栗 和雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (10387516)
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研究分担者 |
春日 晃章 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30343726)
中野 貴博 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (50422209)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 小児 / 運動習慣 / 体格 / 体力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、運動習慣のある小児と運動習慣のない小児を対象に、腸内細菌叢、身体活動量、体格、体力を複数年にわたって縦断的に調査し、小児における運動習慣や体力の向上が腸内細菌叢のバランスに及ぼす影響を明らかにすることである。本研究によって、運動習慣と体力向上が小児の腸内細菌叢を良好にコントロールする有効な方法であることが明らかとなれば、小児における健康の維持増進に大きく寄与することができる。 縦断的調査が可能な対象者の収集について、G県T市内の幼稚園・保育園と協議を行い、3つの園から調査の許可が得られた。また腸内細菌叢の検査は、株式会 社サイキンソーと契約を行い、次世代シークエンサーを用いて16SrRNA解析を行うこととなった。 令和5年1月に本調査に参加した54名の幼児と保護者を対象に、2年目の調査依頼を行った結果、43名の参加者が得られた。そこで、令和6年1月に、腸内細菌叢検査、生活習慣に関するアンケート調査、身体測定、3種目の体力・運動能力測定を実施し、2年目の縦断的調査を行った。腸内細菌叢の検査は、㈱サイキンソーに依頼し、検査項目は保有菌の種類数、多様性指標、ファーミキューテス門・バクテロイデス門・アクチノバクテリア門・プロテオバクテリア門の比率、ビフィズス菌、乳酸産生菌、酪酸産生菌であった。 これまでに得られた2年間の縦断的データを比較した結果、幼児の菌の種類数が有意に少なく、多様性も有意に低いこと、また2年間で高い相関性が認められた。また門レベルの組成も相関性のある傾向が認められた。腸内細菌の各項目と肥満度の関係を幼児と児童別に検討した結果、2年間のいずれの項目でも有意な相関関係は認められなかった。これらの結果から、幼児期の腸内細菌叢の特性は、経年的に大きく変化することは小さい中で、幼児期では腸内細菌の菌種類数が少なく、多様性が低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の一昨年度に縦断的調査が可能な対象者を収集すること、腸内細菌叢の検査機関を決定することが完了しており、2年目の昨年度において縦断的調査が可能な対象者について初回測定を行うことできた。そして、3年目の本年度において2年連続で縦断的な調査を行うことができた。対象者からは来年度3年目の縦断的調査への参加について同意が得られており、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、運動習慣のある幼児と運動習慣のない幼児を対象とし、数年間にわたって、1年に1回の頻度で、腸内細菌叢、体格、身体活動量(移動距離、運動強度など)、体力・運動能力を測定することが計画されている。対象者からは今後3年間の縦断的調査への参加について同意が得られており、本研究は順調に進展することができるものと考えられる。そして、本研究から、運動習慣のある小児や体力の高い小児は、幼児段階ですでに腸内細菌叢の総数、多様性、良性物質の産出細菌率が高いこと、また小児が運動習慣を継続することで良好な腸内細菌叢を維持し続けられることが明らかになると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年は、引き続く新型コロナウィルス禍のため国際学会での発表を行うことができなかったこと、論文を執筆中のため学術雑誌への投稿を行うことができなかったことが理由として挙げられる。
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