研究課題
柿タンニンは高分子で、複雑な構造を有し強くたんぱく質と結合する性質をもつ。そのため、消化吸収しないとされてきたが、筆者らは食餌由来のタンニンが生体内で低分子化している可能性があることを見出している。筆者らは、タンニンを酸加水分解して低分子化し、HPLCによって分析を行った結果、加水分解によってHPLCのクロマトグラムは変化し、分解物のピークが出現することを確認した。現在は分取カラムを用いて、当該ピークを分取するところまでは進んだが、そこから低分子化化合物を単離するところまでは至っていない。また再現性についても、検討を続けている。化合物が単離できた際には、その構造を特定するべく分析を続けている。また、柿タンニンの肥満予防効果を評価するため、タンニンを添加した高脂肪食をラットに11週間投与した動物実験を実施した。体重および摂食量においては有意な差は認められなかったが、肝臓の脂肪組織の面積がタンニン添加高脂肪食群において顕著に低下した。また、TGおよびコレステロールを測定した結果、肝臓のコレステロールがタンニン添加高脂肪食群において有意に低下していた。TGにおいて低下傾向は認められたが、有意差は認められなかった。しかし、タンニンの摂取が高脂肪食摂取による肥満傾向を抑制することが示唆された。また解剖終了時に、盲腸内容物を採取し、腸内細菌叢の解析を行った。その結果、タンニンの摂取によって、腸内細菌叢が変化し、Bacillota/Bacteroidota比が高脂肪食群はもとよりコントロール群よりも低下する結果となった。これは腸内細菌叢が抗肥満型に変化したことを意味する。また、脂質代謝に関与するとされるAkkeemansia muciniphilaの相対量が顕著に増加し、腸内細菌叢が抗肥満型に変化したことが裏付けられた。現在これらの結果に基づき、論文執筆中である。
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巻: 15 ページ: 1636(1-10)
10.3390/v15081636