研究課題
最終年度においては、雄野性マウスに通常餌(脂肪成分20%)または高脂肪餌(脂肪成分60%)を摂取させ、通常餌群と高脂肪餌群に分ける。また各群をACE2慢性投与群(通常食および高脂肪食rmACE2を2週間腹腔内投与)、とコントロール群に分ける。したがって、通常食+コントロール群、通常食+ACE2慢性投与群、高脂肪食+コントロール群、高脂肪食+ACE2慢性投与群の4群を作成した。それらに対してSARS-CoV-2のリコンビナントSタンパク(Rp)を投与し、肺と小腸での分布を評価した。高脂肪の摂取によって肺でのRpの沈着は増加したが、rmACE2を腹腔内に慢性投与しておくとその沈着は軽減された。一方、小腸では高脂肪の摂取やrmACE2の慢性投与によってRpの沈着に変化がみられなかった。研究全体を通じて実施した研究成果としては、高脂肪摂取によって肥満になると、肺や小腸といった多臓器でACE2発現が増加することが明らかになり、それによって肥満ではSARS-CoV-2に感染しやすくなることが推測された。これに対して外部からACE2を投与すると、SARS-CoV-2が臓器内に発現しているACE2に結合する前に、外部から投与されたACE2に結合することで臓器内にウイルス感染しにくくなることが考えられた。このような結果は、肥満者のCOVID-19重症化予防として、早期にACE2を製剤として投与することが有効であることを示唆するものである。
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FASEB Journal
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