研究課題/領域番号 |
21K11603
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
平山 剛 東京医科大学, 医学部, 准教授 (30449219)
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研究分担者 |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60532687)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ディスバイオーシス / 糞便 / ステロイドミクス解析 |
研究実績の概要 |
様々な疾患の原因として腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が指摘されている。しかし腸内細菌叢には個体差が大きく、極端に異常の場合を除いてdysbiosisの判定は難しく、その治療経過を簡単にモニタリングする方法もない。本研究では、腸内細菌の代謝物のうち代謝経路が既に明らかにされているステロイド類に着目し、そのステロイドを定量することによって、迅速にdysbiosisの有無の診断と経過追跡の方法を確立することを目的としている。本研究目標に従って、令和4年度は下記2項目の研究を行った。 (1)水酸基を有するステロイド(胆汁酸以外)はピコリン酸で誘導体化することによって、また水酸基を有さずカルボニル基のみ有するステロイドはGirard's Reagent Pで誘導体化することによって、それぞれ別々に高感度分析する方法を令和3年度までに確立済みである。令和4年度は、ピコリン酸とGirard's Reagent Pによる誘導体化を同一試験管内で行い、一度の分析で水酸基またはカルボニル基を有するステロイドを同時に定量できる方法を開発した。 (2)マウスに高脂肪・高糖質投与、胆汁酸負荷等の介入を行ってdysbiosisを起こさせ、腸内細菌叢を評価すると同時に糞便中のステロイド分析を行った。その結果、腸内細菌叢は、生理的な量の胆汁酸負荷ではそれほど大きく変化しなかったが、食事内容によって大きく変化した。糞便中のステロイド分析でも腸内細菌叢と同様に、胆汁酸負荷よりも食事内容によって大きな変化が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糞便中のステロイドを新しい手法で分析する技術が確立され、マウスを用いた基礎実験がほぼ完了した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はさらに多くの病態で、便中ステロイド分析を行う。これまでのマウスの研究で、高脂肪食投与時にコレステロール代謝物である特定のステロールが著減することを見出しており、高脂肪食以外の様々なディスバイオーシスの状態における糞便ステロイドの変化を明らかにしたい。さらに、特徴的なステロイド代謝を行う菌の同定と疾患との関連の解明も試みる計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年2月に次世代シーケンス委託解析を行い、令和5年3月末に既に解析結果を得ている。また、令和5年3月にパラフィンブロックの委託作成と消耗品の購入を行った。しかし、これらの請求書が令和5年3月中に発行されず4月になったため、令和4年度中に支払いを完了することができず、結果としてこれらの経費に相当する「次年度使用額」が生じた。これらの請求書の支払いを令和5年度早々に行うことにより、「次年度使用額」分は使い切る計画である。
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