研究課題/領域番号 |
21K11604
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
上岡 洋晴 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (30408661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エビデンス / 機能性表示食品 / 臨床試験 / バイアスリスク / システマティック・レビュー |
研究実績の概要 |
本研究は、機能性表示食品制度において機能性の科学的根拠として届出されたシステマティック・レビューと臨床試験(CT)における内的妥当性を評価することを目的としている。本年度はその中でも、CTにおけるバイアスリスクの程度を明らかにすることを目的に研究を進めた。 2018年6月1日から2021年6月30日までに公表された届出論文103編を対象とした。Cochrane risk-of-bias toolの改変版11項目にさらに3項目を追加した14項目で評価した。 バイアススコアとして、各項目でバイアスがある場合には1点で、すべての項目であると14点となる。評価の結果、平均±標準偏差として5.7±2.5点、レンジが0-11点であった。バイアスリスクの高い順として、ITT(intention-to-treatment)解析が84編(81.6%)、試験食摂取のコンプライアンスが70編(68.0%)、多重検定(アウトカム)が69編(67.0%)、多重検定(時点)が54編(52.4%)、介入者へのブラインディングが51編(49.5%)、ドロップアウトの理由が50編(48.5%)、主要アウトカムにおけるベースラインでの均衡性が48編(46.6%)などとなっていた。 機能性表示食品制度における機能性を示すCTでは、バイアスリスクが高い論文が多いことが明らかになった。ここでいうバイアスとは、「機能性あり」という方向への系統誤差であることを意味することになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は2年目であったが、そのタスクとしての研究もすでに論文として英文雑誌に公表され、最終年の研究も計画通りほぼ完了している。
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今後の研究の推進方策 |
3年分の研究成果を学協会へ最大限に公表するとともに、機能性表示食品制度におけるより良いガイドラインづくり(アップデート)に反映してもらうべく情報発信を進める予定である。また、食品業界においても質の高い臨床試験やシステマティック・レビューを実施するための資料として情報提供を続ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3つめの研究を進めるにあたり、年度間で少し時差があり残額が生じた。
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