研究課題/領域番号 |
21K11606
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田原 優 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (80707399)
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研究分担者 |
高松 敦子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20322670)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 体内時計 / 時間栄養学 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
本研究では、ウェットとドライ研究を融合したシステムバイオロジーにより、実生活における環境因子入力と、それに対する概日時計応答のさらなる理解を目指す。新規に哺乳類の概日時計を模した数理モデルを構築し、環境因子に対する応答をシステマティックに評価する。さらに、ウェアラブルデバイス、アプリにより蓄積されたヒト大規模データから、リバーストランスレーショナル研究を推進し、新規に作成した不規則な生活モデルマウスを用いて、実生活に見られるゆらぎ、「不規則な生活による健康被害」の科学的な理解を目指す。本年度は、埋込み型の体温センサのデータから、体温の日内リズムの位相を抽出する方法を検討した。フィッティング方法をいくつか検討し、有効な方法を見出した。その方法を用いて、様々な光条件で飼育したマウスの体温を解析し、時差ボケ状態の数値化に成功した。一方で、LPS投与による体温上昇、低下と、体温リズムの変化の関連は、再現性が乏しく、有意な関連を見い出せないという結論に至った。そこで、既報を参考に時差ボケによる性周期の変化を指標にして、様々な光条件の影響を見た結果、有意な関連は見いだせなかった。若齢マウスを用いたことが原因と考え、現在老齢マウスでの再実験を検討している。一方で、時差ボケによる睡眠脳波の変化に対し、水溶性食物繊維の長期間摂取の影響を調べた。現在結果を解析中である。また、週末の生活リズムのズレと関連する食習慣についても、食事管理アプリあすけんのデータから明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LPS投与による敗血症モデルが不安定な実験系であるという結論に至り、実験が少し止まってしまった。一方で、体温データの解析方法や食物繊維の影響、あすけんのデータ解析に関しては順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
老齢マウスを用いた時差ボケの影響を調べることで、数理モデルとの関連を見出す。食物繊維による時差ボケの予防効果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、早稲田大学から広島大学に移動したため、研究環境のセットアップに時間を要し、研究費を予定通り使用することができなかった。一方で、今は研究環境が整っているため、最終年度は加速して研究を進める予定である。具体的には、計画にある動物実験(不規則な生活モデルマウスにおける食や運動による予防効果)をさらに進める。
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