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2021 年度 実施状況報告書

高精度間接熱量測定で挑む食事誘発性熱産生の再評価~自律神経と脂質吸収に着目して~

研究課題

研究課題/領域番号 21K11610
研究機関同志社大学

研究代表者

海老根 直之  同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30404370)

研究分担者 福岡 義之  同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード食事誘発性熱産生 / 間接熱量測定 / 糖質酸化 / 脂質酸化
研究実績の概要

1日の総エネルギー消費量のおよそ1割を占めるとされる食事誘発性熱産生(Diet-Induced Thermogenesis: DIT)であるが,目視できない消化吸収にまつわる現象であるため,その詳細には不明な点が数多く残っている.エネルギー産生栄養素である脂質がもたらすDITの大きさは,摂取エネルギーの0~3%と目されているが,この見積りの基となった知見は1980年代に実施された研究に根ざしている.この間,質量分析が導入されるなどした間接熱量測定法のアップデートはめざましく,正確な結果を取得するべく測定時の要点も繰り返し検討され磨かれている.本研究は,最新技術を駆使して高精度な測定法を構築し,これを運用することでDIT現象を再評価することを目的としている.
初年度となる令和3年度は新型コロナ感染症の拡大防止措置下での研究遂行が求められたため,後の研究活動を円滑に進めるための礎を得るべく,測定方法の研鑽に重点を置いた活動を行った.DITは運動によるエネルギー消費に対し,比較にならないほど小さな反応であるため,夾雑要因となる測定中の体動を効果的に抑制できるかどうかが結果の信頼性を左右する.そこで,検証を行いながら幾つかの効果的な手立てを測定に導入した.ベース食に対し脂質を添加する日常食に比較的近い試験食をデザインし,若年男性を対象に添加脂質がDITに及ぼす影響の評価を行った.オリーブオイルを添加した試験食において,ベース食に対し有意に高い累積DITが観察され,食後60分頃から脂質酸化量が高まる傾向も観察された.中鎖脂肪酸オイルについても同様の実験を行ったが,累積DITが有意に高まることに加え,経時的データにおいてもエネルギー消費量と脂質酸化量の項目でベース食摂取時に比べて有意な高値が確認され,代償的に糖質酸化が抑制的となる現象が観察された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナ感染症の拡大防止措置のため,ヒトを対象とした実験の実施が困難な時期があった.この間は測定システムの精度検証試験を繰り返すなどし,後の研究を円滑に行うための準備期間と位置づけ,方法論的研鑽に重点を置いた活動を行った.このような措置の結果,試験を効率良く行うことができ,期間を通じて十分な成果があげられている.

今後の研究の推進方策

ここまで研究は順調に推移しているものの,依然として新型コロナ感染症の拡大防止に努めながらの研究実施が求められる.ヒト対象試験となるため,安全な履行に意識を置きながら研究を一歩ずつ進めていく.この先,大規模な研究が実施できなくなる可能性を踏まえ,少数例でも信頼性の高い結論が導き出せるよう,高い測定精度の維持に努める.各種条件での事例を着実に積み上げつつ,実験実施と平行し,結果がまとまったものから適切な発表の場を求め,学会発表ならびに論文投稿へとコマを進める.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の拡大防止措置のため,測定の事例数が抑制的となってしまった.学会大会が中止やオンライン開催に移行するなどし,発表の機会が失われている.次年度も感染症の影響は続くと思われるが,十分な討論の機会が与えられる発表の場をオンライン学会も含めて選定し,研究成果を社会に還元して行く.
次年度に繰り越した予算については,学会大会の参加費,旅費,ならびに学術雑誌への論文投稿時の投稿料,加えて測定実施の際の消耗品費と被検者謝礼に充てる予定である.

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公開日: 2022-12-28  

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