研究課題/領域番号 |
21K11622
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
臼井 真一 鳥取大学, 医学部, 教授 (50346417)
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研究分担者 |
篠畑 綾子 岡山大学, 保健学域, 助教 (70335587) [辞退]
下廣 寿 鳥取大学, 医学部, 講師 (90583758)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HDL / メタボリックシンドローム / 高フルクトース飼料 / アポリポプロテインE |
研究実績の概要 |
今年度は8週齢で入手したラット(Sprague-Dawley)を高フルクトース飼料(10 kcal% Fat ,70 kcal% Fructose)で9週間飼育し,メタボリックシンドローム(MetS)発症過程における糖代謝異常と血中アポE含有HDL濃度の関連を視野に入れて,アポE含有HDLの変動を経時的に追跡した。高フルクトース飼料群では,飼育後1週目の早期にアポE含有HDL濃度に変動は見られなかったが,アポE非含有HDL濃度が有意に増加した。その後,2週目以降はアポE含有HDL濃度が上昇する傾向がみられ,9週目ではコントロール飼料群に比べアポE含有HDL濃度およびアポE非含有HDL濃度が有意に高値だった。9週目では肝臓の中性脂肪がコントロール群に比べ有意に高値であったが,肝臓のコレステロール蓄積や肝障害のマーカーである血清ALT,AST値に差は見られなかった。また,血糖値,血清トリグリセリド,血清リン脂質,血清遊離コレステロールがコントロール飼料群に比べ有意に高値であったが,血清遊離脂肪酸に有意差は見られなかった。 以上の結果から今回の動物実験では,高フルクトース飼料によりMetSの構成因子である高血糖と高トリグリセリド血症,軽度体重上昇を引き起こすことができたが,予想に反してアポE含有HDLは低下しなかった。このことから,ヒトMetSで見られたアポE含有HDLの低下には高血糖や肥満などが関与している可能性は否定的であり,昨年度までの検討で明らかになった肝コレステロール蓄積や飼料組成(高コレステロール飼料)がアポE含有HDL濃度の変動に関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高フルクトース飼料により,MetSの構成因子である高血糖と高トリグリセリド血症,軽度体重上昇をラットに引き起こすことができたが,動物実験の開始時期が遅れたことや共同実験施設の機器故障などにより,採取した臓器の遺伝子・蛋白発現解析が予定よりも進んでいないため,やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
高フルクトース飼料で飼育したラットからすでに採取した肝臓を用いて,mRNA発現と蛋白発現をリアルタイムPCRとウエスタンブロッティングにより解析を進める。また,高コレステロール飼料で短期間飼育したラットから採取した肝臓についてもさらなる解析を進め,アポE含有HDLの変動が起きるメカニズムについて検討を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で未使用の旅費が生じた。令和5年度の未使用額は現在実施が遅れている実験・分析経費にあてる予定である。
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