研究課題
初年度は、網膜色素上皮細胞の培養実験では、細胞極性を持つ状態での実験が重要であることが示された。希少糖の抗酸化ストレス作用を評価したが、希少糖共培養群では細胞死の割合が減少する傾向はみられたものの、過酸化水素刺激群の結果と比較して統計学的な有意差は見られなかった。炎症性サイトカインの測定においても過酸化水素刺激群でのサイトカイン上昇は確認したが、希少糖共培養群でのサイトカイン抑制については統計学的な有意差は得られなかった。2年目に実験条件の調整を予定していたが使用していたLonza社の細胞の販売中止により、研究計画を変更し、まずは硝子体手術で得られる眼内液からの炎症性サイトカインの測定を行い、本研究の対象疾患を絞ることを試みたところ糖尿病網膜症ではIL-6を始めとした炎症性サイトカインの上昇が確認されたので対象疾患を糖尿病網膜症にすることとした。また、分子Xについての解析では、糖尿病網膜症での濃度上昇が示された。最終年度では、手術前に抗VEGF薬として臨床で用いられているアフリベルセプトとラニビズマブを投与した糖尿病網膜症患者の硝子体液における分子Xへの影響を比較したところ、ラニビズマブではアフリベルセプトに比べてより強く分子Xの濃度を低下させていることが分かった。今後分子Xの濃度が糖尿病網膜症のどのような臨床所見と相関があるのかを調べ、分子Xが本疾患のバイオマーカーとなり得るのかを検討する。また老化マウスに希少糖を接種させると眼瞼の炎症が抑制されることが分かり、採取した眼瞼組織を評価予定である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件)
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