研究課題/領域番号 |
21K11629
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
福本 真也 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90381996)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | COVID-19 / コロナ禍 / 2型糖尿病 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 生活習慣病 / キサンチン酸化還元酵素 / NAFLD / MAFLD |
研究実績の概要 |
2021年度は、被災群(パンデミック経験群)と対照群(パンデミック非経験群)のリピーターデータの回収を開始した。また、コロナウイルス感染の直接的影響を除外するため、コロナウイルスワクチン接種開始以前の症例の保存血清を用いて、新型コロナウイルス抗体測定を開始した。また、コロナ禍における精神状況の影響を検討するため、2021年度受診者に対しては、うつ・不安に対する簡易検査として頻用されるK6質問票を含むアンケート調査を行った。更に、上記コホート研究に対するデータ回収と並行して、2018-2020年受診者の関連データを用いた解析を行い、コロナ禍における特定の生活習慣の変化がmetabolic dysfunction-associated fatty liver disease (MAFLD)の発症リスクになることを見出した。 2022年度は、前年度より進めていた解析結果を共同研究として論文発表を行った。本研究に関するコロナ抗体価の測定とK6質問票を含むアンケート調査が終了し、上記コホート研究に関するフォローアップデータと併せてデータ回収を継続した。 2023年度も、被災群と対照群のリピーターデータの回収を進めたが、コロナ禍以降の健診受診者が著明に減少したため、被災群のリピーターサンプルが少なくなり、中間集計にて統計パワーが不十分であることが判明した。コロナ禍が当初想定していたよりも長期化したことを考慮し、観察期間を延長するなど計画を修正せざるを得なくなった。一方、横断研究からは、コロナ禍で増加したNAFLDに関連して、尿酸代謝と活性酸素代謝の中心的役割を担うキサンチン酸化還元酵素(XOR)が、NAFLDにより肝内で活性化され、それに関連する血中XOR活性が血清尿酸値と独立して血管内皮機能に関連することを見いだし、論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍以降に健診のリピーター受診者が著明に減ったため、中間解析では被災群のサンプル数が少なく統計パワーが不十分であった。そのため、研究計画に修正の必要が生じた。コロナ期が当初の想定よりも長期化したことをうけ、被災群の観察コホートを複数年に設定するか、観察期間を延長するなど計画の修正を余儀なくされ、コホート研究の進捗がやや遅れている。副課題については、一部の横断データを用いた解析結果から、コロナ禍で増加したNAFLDに関連して、尿酸代謝と活性酸素代謝の中心的役割を担うキサンチン酸化還元酵素(XOR)が肝内で活性化され、それを反映した血中XOR活性が血管内皮機能に関連することを論文報告した。横断研究については順調に計画が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、長期化したコロナ期のために、適格なリピーターデータが当初の予定よりも著明に少なくなった。サンプル数を増やすために被災群の観察コホートを複数年に設定修正し、観察期間を延長する等、当初の研究計画を修正して検討する。同時に、横断研究については引き続き解析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプル測定に必要な抗体測定キットについて、一部のキットが他研究費で購入することができたため2022年度研究費からの繰り越しが生じたことや、コロナ禍で離職した研究補助員1名に代わる適切な研究補助員を採用できなかったこと、更にコロナ禍の影響で研究計画を延長せざるを得ない状況になったため。また、コロナ禍に対する規制が徐々に解除されてきたものの、研究会や学会は依然としてWEB開催へのリモート参加が続き、計画されたほとんどの旅費が不要となったこともその理由の1つとなった。次年度は、主に、研究計画の修正に合わせたデータの収集と解析、論文作成等結果発表に関わる研究費として使用する。
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