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2021 年度 実施状況報告書

備えたくなる食料備蓄に向けた基盤構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K11641
研究機関国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

研究代表者

笠岡 宜代 (坪山宜代)  国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 室長 (70321891)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード災害 / 栄養 / 備蓄 / 食料
研究実績の概要

本研究は自然災害やCOVID-19等のパンデミック時において、食・栄養不足を回避するために家庭での食料備蓄を促進することを目的としている。依然として進まない家庭備蓄に対する意識を変えるために、「義務的」な後ろ向き意識を伴う備蓄ではなく、むしろ「備えたくなる備蓄」に転換させるために、旧来とは異なる新しい切り口のアプローチに向けた調査(質的研究含む)および開発を実施する。これより、家庭での食料備蓄を促進させ災害時・緊急時の栄養不良を軽減させるとともに、平時の食・栄養への意識を高めることも目指す。
初年度である2021年度は、食料備蓄に関連する要因の探索と「備えたくなる備蓄」調査の準備を行った。
・食料備蓄をしている人としていない人の間でどのような違いが認められるのか、食料備蓄の有無と個人の性格特性との関連を検討した。南海トラフ巨大地震での食料不足リスクが高い上位5県(高知、徳島、和歌山、愛媛、三重)に在住するネットリサーチモニターのうち、家庭内で主に食事を準備している成人男女1200名を対象に、オンライン調査(調査期間:2019年12月18~20日)を行った。性格特性は、Big5を尺度とし、性格5因子として外向性、協調性、勤勉性、神経症傾向、開放性について検討した。その結果、食料備蓄の有無と生活特性は、いずれの性格特性においても有意な関連がみられなかった。
・備えたくなる備蓄に意識転換させるための調査の準備を行った。「どんな災害食が欲しいか」「どうして日本の家庭備蓄が増えないと思うか」「家庭備蓄をUPするにはどのような方法や仕組みが欲しいか」について引き出すために、アンケート調査およびインタビューを実施するための調査票等の設計を行い、研究倫理審査委員会に申請し許可を受けた。次年度に調査を実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では家庭備蓄が進まない現状を変えるために、「備えたくなる備蓄」に意識転換させ、旧来とは異なる新しい切り口のアプローチを探索することを目的としている。
2021年度は新型コロナウイルス感染症によるまん延防止等重点措置が発出されている中においても滞りなく研究を進めた。対面での接触を避け、感染拡大が生じない計画を優先し、重点的に進めた。例えば、これまでに実施した調査結果を用いて、備蓄の有無と関連する要因の探索をすすめ国際誌に報告した。(Harada, Tsuboyama-Kasaokaら、食料備蓄の有無と性格特性の関連、PLOS ONE, 2021)。
また、感染拡大への配慮を行い、予定していた調査をウェブ調査に切り替え、対面での調査を回避する方針に転換した。この計画については、既に研究倫理審査委員会の審査を受け、承認を得ることが出来た。
以上より進捗状況を評価した。

今後の研究の推進方策

2021年度に引き続き、食料備蓄に関連する要因の探索と「備えたくなる備蓄」の調査を進める。
特に、本研究のメインテーマである備えたくなる備蓄開発につながる調査を実施する。当初は2021年度からインタビュー調査を行う予定であったが、対面でのインタビュー調査は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を招く可能性が考えられるため、まずはオンラインによる調査を行う予定である。「どんな災害食が欲しいか」「どうして日本の家庭備蓄が増えないと思うか」「家庭備蓄をUPするにはどのような方法や仕組みが欲しいか」について、自由回答フォームに答えてもらう形で実施する。回答はテキストベースで質的記述的解析を行い、少数でも有益な情報を漏らさない工夫を行う。
予定していたインタビュー調査については、新型コロナウイルス感染症の感染状況を注視し、実施可能か否かを丁寧に検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、予定していた現地調査を実施しなかったため。具体的には、国内外の備蓄成功事例について、現地を訪問しての調査を予定していたが感染拡大を回避するために訪問しなかった。また、成功事例について対面インタビュー調査も予定していたが実施しなかった。しかしながら、研究成果の遅延を招かないため2022年度に予定していた解析等を繰り上げて行ったため、出張費やその他の必要経費を使用しなかった。さらに、2021年度はコンピューター等の電子機器の購入を予定していたが、希望する機種の入手が困難だったことから次年度以降に購入を延期した。
(使用計画)
2022年度も、新型コロナウイルス感染症の状況が不透明であるため、対面で行う予定であったインタビュー調査を優先せず、代替案としてオンラインを用いたウェブ調査にて同様の情報を収集する事とした。そのための、オンライン調査フォーマット作成、対象者への謝礼等を予定している。また、インタビュー調査については実施可能か否かを丁寧に検討し、実施可能と判断できた場合には、現地への出張費やその他関連費用を予定している。2021年度に購入が困難であったパーソナルコンピューター等の電子機器の購入も予定している。それらの成果を国内のみならず海外の英文誌においても研究成果を発表する予定であるため、英文校正、査読費用、掲載料等にも使用を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Association between personality traits and food stockpiling for disaster2021

    • 著者名/発表者名
      Moeka Harada, Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Jun Oka and Rie Kobayashi
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 29 ページ: e0259253

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0259253. eCollection 2021.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] 国際災害栄養研究室のHP

    • URL

      https://www.nibiohn.go.jp/eiken/disasternutrition/

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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