腹膜は腹腔内を包む膜で、その表面は中皮細胞からなる単層で、深部は結合組織でできている。腎不全に対する腹膜透析療法では、この腹膜が透析膜の役割を果たし、腹腔内に投与された透析液中には、中皮細胞を介し、体内の老廃物が抽出される。腹膜透析を、合併症を起こさずより長期に行うためには透析液の組成が重要であると考えられている。現在も腹膜にできるだけ優しい腹膜透析液が開発されているが、透析液の組成には未だ再考の余地があり、そのためには腹膜の輸送特性を知る必要がある。腹膜のイオン透過性を解明することは、将来的にはより効率的で安全な腹膜透析法の開発につながる非常に重要な事項である。
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