研究課題/領域番号 |
21K11649
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
竹中 重雄 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (10280067)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ビタミンB12 / 補酵素型 / LCMS |
研究実績の概要 |
ビタミンB12(B12)は必須栄養素であり,その欠乏によって悪性貧血が引き起こされる。一方で,その不足によって様々な神経疾患が惹起されることが報告されているが,その分子機構には不明な点が多い。その一例として,B12の処方が概日リズムの維持に有効であるとした報告や脳内におけるB12量が日内変動することが示唆されている。申請者はラット脳内B12の日内変動を検討した結果,既報と一定の整合性を有した結果を得ることができた。そこで,本研究において,脳内の補酵素型B12の動態を明らかにし,その睡眠覚醒における生物学的機能を明らかにすることを目的に,初年度はLCMS/MSを用いた補酵素型B12定量システムの構築を試みた。LCMS/MSを用いて,上方配位子にシアノ基(CN)を有する天然にはほとんど存在しないが,食品添加物として用いられるCN-B12,上方配位子がアデノシル基(Ado)またはメチル基(Me)を有する補酵素型B12を試料として,それらの同時定量法の確立を試みた結果,それらを同時に定量することが可能であった。それらの検出下限値はどれも0.1 ng程度であった。脳内のB12含有量からLCMS/MSを用いた定量を行う場合,リン酸化緩衝液を用いて抽出し,その後CN-B12に変換し,総B12量として検出する場合,また,エタノール抽出後にSepPak C18によるB12の濃縮を行った場合共に,現状の検出感度ではラットの脳内B12動態を検討することは難しいことが明らかになった。そこで,LCMS/MSを用いた更なる検出感度の向上を検討するとともに,検出感度が高い微生物法による検討を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LCMS/MSを用いたB12定量法の構築を試みたが,ラット脳内B12動態を検証するために十分な検出感度を得ることができなかった。LCMS/MSを用いた更なる高感度検出法の検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
LCMS/MSを用いた検出法ではラット脳内B12動態を明らかにするために充分な検出感度を得ることができなかったことから,より鋭敏な検出が可能であるB12定量用大腸菌を用いたバイオオートグラムによる検討を実施することを検討している。バイオオートグラムは抽出したB12を薄層クロマトグラフィー(TLC)で分離し,TLCプレートを定量用大腸菌を含む寒天培地上に置き,大腸菌のコロニーとRf値から補酵素型B12を同定・定量するものである。現在までに方法に関する検討を行っており,次年度は試料測定を実施予定である。
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