研究課題/領域番号 |
21K11658
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
柿沼 由彦 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (40233944)
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研究分担者 |
竹中 康浩 日本医科大学, 医学部, 助教 (20586789)
洲鎌 秀永 日本医科大学, 医学部, 准教授 (70302461)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 抗炎症 / 鰹節熱抽出物 / 血液脳関門 |
研究実績の概要 |
鰹節熱抽出物中に含有される、抗炎症効果をもつ成分分析をさらに進め、そのうち高い活性分画を複数見出した。その中において、既知の成分としてすでに報告があるものは除き、既知物質であっても、抗炎症効果がこれまで報告されていないものについて注目し、ミクログリア由来のセルラインMG6細胞を用いて再度、抗炎症効果について検討した。 それぞれの化合物(物質)は主に低分子量を呈するものが多かったが、それらを試薬として購入できるものは購入し、それらを単独の化合物として、培地中のLPSに対するTNFα濃度を指標にして、各化合物のもつ抗炎症効果レベルを評価した。鰹節熱抽出物中にそもそも存在する濃度を参考にしながら、培地中の化合物濃度をふりながら評価したところ、単独であっても、弱いながらも抗炎症効果を示した。しかし、抽出物との比較では、予想よりも抗炎症効果が弱いことから、よってこの抽出物の示す抗炎症効果については、おそらく複数の弱い効果を示す化合物の混合体と考えられることが示唆された。 次に、同定された複数の弱い抗炎症効果をもつ化合物を、単独ではなく複数混合させて、その効果を再度検討したところ、若干ではあるが相加効果が一部認められ、少なくともその混合体に関しては、抗炎症効果を持つ組み合わせとしての一候補と考えられた。 そこで、今度はこれらの物質のなかで血液脳関門の構成蛋白claudin-5の蛋白発現を増強しうる候補物質についての絞り込みを現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予想では鰹節抽出物中の抗炎症効果責任物質は、単体で複数見出されると考えていた。確かに高い抗炎症活性を見出す複数の分画までは、確実に確認出来るまでのレベルを得たのであるが、それらの成分分析において、確実に同定できた化合物においては、その後の単独化合物を用いた同様の実験では、どれも弱い抗炎症効果しか持ち得ていなかった。その理由としては、さらに未知の物質があって、しかし検知出来ていない可能性と、一方で、やはり弱い抗炎症効果を持つ化合物の混合体として効果を示している可能性が考えられた。したがって、どちらでも対応可能なように、今後は研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
弱いながらも、抗炎症効果を示す複数の化合物の同定ができており、今後は、それぞれの単独物質またはそれらの混合体を用いて、血液脳関門構成蛋白ckaudin-5発現を増加させうる化合物について絞り込みの検討を行う予定である。さらに、iin vitroでの効果が確認できた後に、上記物質のin vivoにおける効果評価も同時に行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
活性分画のうちの候補成分分析に時間を要したため、その個々の化合物についての評価においてやや遅れが生じた。そのために次年度において使用額が前年度残分を含めてやや多くなっている。
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