研究実績の概要 |
大阪府医師会・学校医部会・生活習慣病対策委員会の活動として大阪市教育委員会に協力を依頼し、大阪市内の公立幼稚園、小・中学校の養護教諭にアンケート調査を実施し、2022年度の幼稚園と学校検診における児童・生徒のデーターを抽出した。2016年以来の集積データーをもとにして、2016年度から2019年度の変化をコロナ流行前、2020年度をコロナ流行下・ロックダウン経験期、2021年度から2022年度をコロナ流行下・ロックダウン後と3時期に区分して、高身長、低身長、肥満、痩せについて学校毎の変化を対応のあるt検定で検討した。対象の287小学校の児童113,689名、132中学校の生徒51,223名に注目すると、ロックダウン経験期(2020年度)には、1)小学生の肥満率は上昇し、高度肥満が増加した。2)中学生の肥満率は、男女とも低下した。3)小・中学生とも低身長と痩せの率は、一時低下した。ロックダウン後には、中学生の肥満はリバウンド増加していることが明らかになった。 ロックダウン期に中学生の高度肥満が減少したのは、1)自宅での食事摂取量が減った。2)クラブ活動が制限され、買い食いや友人同士での会食の機会が減少した。3)成長曲線作成率の上昇による検出率への影響が考えられた。コロナ禍にあって、小児の身体発育、特に体重管理は、年齢毎に注意すべき重要な課題であることが明らかになった。 またコロナ禍の影響で小児の生活習慣病が増加していることが予想・懸念される。生活習慣病の根本原因ともいえるインスリン抵抗性が生じないための有効な予防策を見出すために、軽微な慢性炎症状態とも言える肥満症における末梢血球数と体格指数(BMI-SDS)やアディポサイトカインとの関係を検討した。
|